きょう、八月二十八日

 ベランダに出ようとしたら、腹を上にした蝉。
 なんで、ここで寿命が尽きたかなあ。
 蜘蛛よ、食べてくれないのかい。
 蜘蛛の巣から離れすぎているし、もし糸に引っかかっていたら、蝉の重
さと大きさで糸が引きちぎられ、大惨事だっただろうか。
 いつだったか、テレビで、蜘蛛は独り立ちしたらずっと孤独に生きる、
そして常にひもじさに耐えていて、ごくたまに餌にありつけるだけ、と学
んだ。
 花のプランター近くに蜘蛛の糸
 糸は、広がったり縮小したり。形が変わる。
 糸が幅広く張られる時は空腹の極みで切迫した状況、それとも反対に、
お腹がいっぱいなのか。
 その主(ぬし)は、普段は、覗き込まないと見えないコの字型の中に身
を潜めているみたい。
 でも、一、二度、姿を見たことがある。
 その黒い体は見せてくれなくていいから、ただそこにいて。
 あれ・・・。
 糸がもつれて一本になって垂れ下がっている。
 何、それ。
 餌が取れなくて立ち去ったのかなあ。
 それは困る。
 行かないで。
 そう言えば、かしましい蝉の鳴き声が消えた。
 梅雨のごとき長雨続きのあと、ようやく蒸し暑さが戻ってきたところな
のに。
 でも、雨のあいだも、アブラゼミが一斉に鳴き出したら、次に鳴き止む
までは雨は降らないと安心できた。
 今朝、ツクツクボウシが鳴いた。
 午後からはミンミン蝉。
 蝉は、種類を問わず、天候不順に影響を受けないものなのか。
 ただし、時の経過に支配される。
 野菜は。
 近隣からの産直コーナーに、毎日新鮮な露地物が並ぶはずが、突然、売
り物がほぼない状況になった。
 しばらくすると、今度は、スーパーマーケットの野菜コーナーだ。
 夏、私に欠かせないのは、きゅうりとトマト。
 サニーレタスは、露地物が終わってハウス栽培物でも手に入らなくなっ
たら、紫か白たまねぎで代用する。
 きゅうりとトマトは底値だし、夏をサラダで生きる私には幸せな季節。
 まさか、きゅうりやトマトが売り場にない日が来るとは思わなかった。
 出ても、質が悪い。
 きゅうりは、一本売りでほぼ通常の三倍の値段。
 野菜は、時間差で日照不足と長雨の影響をもろに受けるのであったか。
 自分の体験以上に確かなことはないけれど、調べたら、卸値の移り変わ
りの情報が目白押し。
 野菜の値上がりのインターネット記事もある。
 でも、待っているだけでは、流れてこない情報だった。
 芸能情報は嫌と言うほど目に入ってくるのに。