アップデートが怖い

 職場で上の立場の女性から、
「もう少しお洒落をしたら」
 と言われた日は、汚れてもいい服で行く必要があった。
 ただ、ほかの人達と比べ、私は明らかに「いけていない」服だったのかも。
 そして、一度でもそういう服装をしたら、それがあなたのイメージだと他
人から受けとめられると前回書いたとおりを私は実証したのかも。
「一緒に、似合う色を見つけるパーソナルカラー診断に行きましょう。服も
選んでもらって」
 と言われたのは、翌日以降、私が黒、白、ベージュなどと一線を画す色ば
かり着て行ったので、反古になったと思う。
 だいたい、私は自分の色のタイプを知っている。
 いや、たとえそうでも、何か口実を見つけて職場の外で一緒に楽しみまし
ょうと誘われたら、乗った方がいいか。
 今日はフランスの友の誕生日。
 フランスへの小包は、今、船便のみで、何ヶ月かかるかわからないので、
誕生日プレゼントは航空便の再開を待って送ることにした。
 正解だった。
 二週間前に送った誕生日カードが着いたのは、昨日。
 通常の三倍、日数がかかった。
 もっとも、私の手を離れたら私には何もできないから、気になるが、気を
揉むほどではなかった。
 神経質になるのは、自分の管理下を離れる時まで。
 私のiMacは三世代前のOSである。
 たまにSafariに不具合が起こり、OSのアップデートで解消できると予見
されるも、しないのは、スキャナーがそのOSに非対応で、後継の、A4サ
イズを平置きできるスキャナーも販売されていないから。
 ところが、突然、あるサイトに入れなくなった。
 困る。
 サイトのメンテナンスをしたからだろう、でも、他からそういう声はない
ので、私のOSが推奨外なのが原因ではないか、と言われる。
 最新のiMacを買うしかないか。
 しかし、最新のOSにはまだ非対応だと言う。
 今は寝て待て、という天の声と見るべきか。
 いずれiMacを買う時が来たら。
 大きなiMac二台を横に並べて置けるスペースはないぞ、と机を見て思う。
 スキャナー次第ゆえ、現状を確認。
 すると、私のスキャナーは、アップデートしたいOSにも対応、とある。
 嘘っ。
 何年間も駄目だったじゃん・・・。
 でも、ならば、OSをアップデートすれば済む。
 さあ、ボタンを押そう。
 押せない。
 押したあと、画面がどうなれば正常にアップデートが進行していることに
なるかがわからず、不安が膨れ上がるのだ。
 そして、アップデートの必然に迫られている我が身を呪う。
 天は、出費ゼロで解決できる最良の方法を用意してくれたのに。