二月二十九日に中学校の全校集会で「子供は二人以上」発言をした大
阪市立茨田(まった)北中学校の寺井寿男校長。
その報道や記事を見聞きしてから、彼が実際に話した講話を読み、思
った。
取材って、相手の言い分を、ただ聞いて書くだけなんだ・・・。
寺井校長は、子供が生まれなくなるとニホンという国がなくなるから、
女性にとって最も大切なことは子供を二人以上産むこと、という言葉で
講話を始めたが、この部分だけでも、え、新たに生まれる命の数だけが
人口増加の必須条件なの、と思考が刺激される。
昨日付けで内閣府が去年の自殺者総数を発表した。
24,025人。前年比1,402人減ということだが、遺書がない場合は不審
死や事故死扱いし、自殺と見なされないので、実際の自殺者数はもっと
多い。自らの命を自ら断つ人がいない世の中にすることは、人口減を防
ぐ大きな手立てになると確信できる。
それに、内閣府の白書ですら、職業別自殺者数の「学生・生徒等」は
全体の3.5%、835人を把握している。
自殺の原因・動機項目に「いじめ」がないのは驚かされるが。
よろしい。いじめ自殺は「その他」の五人の中に含まれる、つまり去
年は五人しかいなかった、としよう。それでも、「学生・生徒等」の自
殺者数は835人で、過去九年間の総数は8,345人にのぼる。
教育期間中に命を断つ子達より、これから生まれてくる命、と校長は
考えているのか。
また、女性は、子供を産んだはいいけれど離婚する場合もあり、とこ
ろがニホンでは元夫の養育費支払い義務はあってなきがごとし。
ニホンの女性の環境はリスクが高すぎることは、どう考えているのか。
「子育てのあと、大学で学び医者や弁護士、学校の先生、看護師などの
専門職に就けばよい」
に至っては、何をか云わん。
四十五歳も過ぎてから教員免許を取った専業主婦を、あなたなら好ん
で雇うのか。
親の介護は、誰が担(にな)う。
朝日新聞は、彼が「子育てが楽しいということを伝えたかった」「男
女が協力して子供を育てるのが社会への恩返し」と述べたと伝えている
が、あまりに情緒的で空疎。
彼は「少子高齢化や不安定な年金制度への課題を指摘」したともある
が、自分だって一応社会事情は知っている、と言っている以上の内容は
ない。
なんかなあ。
しかし、「SMAPの解散騒動後も、テレビはパイプはあるのに独自取
材をしない、違和感がある」と指摘したのはデーブ・スペクターだけ、
という記事を読み、なんとなく納得させられてしまった。