2012-01-01から1年間の記事一覧
「受験はなぁ。人を落とすためにある」 私が個人的に英語を教える中三の女の子が、学校で担任からそう言わ れたことを、私はその子の作文で知った。 私は、英語の宿題は出さないが、毎回、四百字詰め原稿用紙一枚を渡 し、好きなテーマで国語の作文を書いても…
義務教育の英語では、日常会話もできない。 そんな批難への回答が、今の中学の教科書なのだろう。 本文は、英会話のテキストにしたいような自然な会話文。 悪くない。 その代わり、系統立った文法修得は大きく後退した。 たとえば、中一の初めに、「私の」「…
いつでもどこでも誰にでも、とは言わないが、マンションのエレベー ターで住人と遭遇した時などに、 「こんにちは」 と挨拶するか、無言で目をそらせるか。 私は無言でいる方がストレスだ。 フランスでは、客は店に入ると必ず、 「ボンジュール」 と言う。 …
「別に、こんな情報、詳しく知らなくてもいいんだけどなあ」 と思いつつ、インターネットの見出しトピックスをクリック。 くわばたりえが二歳にもならない息子を二回叩いたと十月のブログで 告白した一件も、そんな風にして知った。 十一月には、彼女はテレビ…
「この人は、今、自分の考えを私に押しつけようとしている」 と感じた途端、私の心は強く反撥する。 それはもう、おもしろいほど反射的。 で、考えてみた。 私が敏感に反応してしまう押しつけとは、どういうものか。 その人の「正論」ということになるだろう…
ベンツおじさんが差し入れてくれたスイーツの中から、大福を、もう 一人の女性が先に選んでくれたのは私には好都合だったが、残るアップ ルパイとショートケーキのどちらにしようか迷いすぎたら、 「本当は大福を食べたかった菊さん」 とベンツおじさんが勘…
ベンツおじさんは、自営業。 最初に会った時、私を車で送ってくれたのは、 「俺のすごさを目で悟れ」 のつもりだったようだが、車に疎い私は、 「あら。助手席がフランスと同じ右側なのね」 ベンツと聞くと、 「ええ〜っ。どうせ買うなら、その道の人みたい…
十九歳の知り合いの女の子からのたっての招待だと思い、facebook にページを作ったら、 「招待なんかしていない」 と言われて、思い出した。 前にも一度、友達から招待されたことがあり、電話で、 「ごめん。facebookの面倒まで見る時間がないの。パスさせて…
個人的に英語レッスンを引き受けている学生の中でその女の子が最年 長だったので、彼女の高校入試と大学入試は私にとって初体験となった。 彼女は、高校は志望校に入ったが、大学は落ちて、今、浪人中。 春からは私の英語レッスンをやめ、かといって予備校に…
実は、マンションの鍵の電池交換は、 「自分でできますよ」 と鍵のリモコンカバー交換の業者が、カバーの蓋を開けて、中にどん な風に電池が収まっているかまで見せてくれたので、私は教わった通り にしたつもりだったが、最初にマンションの扉の前でリモコ…
マンションの住民が、 「鍵のカバーは割れていませんか」 と声をかけてくれたおかげで、業者の人が鍵のリモコンカバーの出張 修理に来ているとわかり、電池交換を相談したら、それは対象外だった ようで、 「自分でできますよ」 手順を説明してくれるも、そ…
うちのマンションの鍵は、頭の部分がカバーで覆われている。 その中央のボタンを押すと、外部からマンションに入る時、遠隔操作 で扉が開く。 が、電池が切れた。 過去に一回電池交換したはずだが、あの時どう対処したのか、まるで 思い出せない。 困った。 …
うろこのある魚なら全部OK。 だから、アメリカ人の母と娘はデパートで和食レストランを選んだの だろう。 ショーケースの料理サンプルを見て、食べられる物を選んでもらう。 アメリカ娘は、マグロ丼の「マグロをサーモンに代えてほしい」、そ してセットメ…
スリムなボディ、かつ、大半の日本男性を眼下に見下ろす身長の二十 二歳、アメリカ娘。 それでも、大阪地下鉄で周囲の乗客とからだが密着する状況はストレ スだったらしく、 「頭が痛い。もう帰る」 と言い出し、彼女の母親が、 「じゃあ、残念だけど、まっ…
アメリカ国籍の初老の女性と、彼女の二十二歳の娘と一緒に京都に行 く予定の日。彼女達の代わりに湯河原の日本旅館に電話したのは、食事 の交渉をするため。 肉は食べない。 シーフードはOK。魚は食べられるが、蛸、イカ、貝などは駄目。 そういうのはシー…
アメリカ人と京都観光に行く朝、待ち合わせ場所を変更して宿舎に来 てほしいというメールを受け取り、それを読んだ時点で、京都に行けな くなる予感がして、私は返信メールに海遊館のURLを載せておいた。 彼女の宿舎から電話で湯河原温泉の日本旅館を予約…
京都観光の日が来た。 ひょんなことで知り合ったアメリカ国籍の女性が、一ヶ月も滞在しな がら京都に行っていないと言うので、 「やっぱり金閣寺は見ておいた方が」 と言ったら、一緒に行くことになったのだ。 その日までに、頼まれもしないのに、ほかのお勧…
アメリカ国籍の外国人と一緒に京都を巡ることになり、まず京都観光 のガイドブックを買った。 そんな必要はないと思っていた頃もあったけど。 インターネットがあるんだし。 が、インターネットは、交通機関の時刻表や、ホテルや店の詳細など、 おおもと発信…
万博公園内で出会った初老の外人夫婦は、妻が仕事で一ヶ月ニホンに 滞在するのに夫がついて来たアメリカ国籍のカップルだった。 会話の最中、「Yes」と言おうとして、「ウィ」とフランス語が口を 突いて出たら、言われた。 「あら、フランス語が話せるの。私…
万博公園の日本庭園の中で、私と友人はT字路にさしかかった。 正面から初老の外人カップル。 このままではぶつかりそうだが、私達の方が一足先にTの字の二画目 の縦棒の方向に右折れ。 その際、男性の声が聞こえたので、道でも聞かれたかと振り返るも、 な…
夏は風邪を引くし咳が長引く、と思っていたのは、正しい医者の正し い見立てでアレルギーと判明して以降、ひどい咳とは縁が切れたが、き のうは珍しく長時間咳き込んだ。 土用は次の季節に移る時期で、呼吸器系疾患の人達は、身体がいち早 くそれを察知して…
暑い。 まだまだ暑い。 が、八月に入ると、空は青さが、空気は透明度が増して、秋の気配が 混じり始めた。 ここからが長いんだけど。 外に立っているだけでも、汗が背中を伝うはず。 って、ひとごとになっている私。 私はもともと素材にはうるさくて、綿や麻…
今年二月のフランス旅行を思い立ったのは、去年の八月。 バカンス先から絵はがきを送ってくれたムッシューLに、 「二月頃行きたいんですけど、どうでしょう」 と返信して、旅の具体化が開始した。 来週に入ったら、丸一年目になる。 旅行から帰ってからでも…
二月のフランス旅行は、マダムBに会うのが目的の一つだった。 もともと彼女の娘が私の友達で、日本在住中に尽力してあげたら、マ ダムBから、母親としての感謝の言葉と共に彼女が編んだレース編みの 花瓶敷きが送られてきた。 私は返信メールを送った。 私…
マダムBの妹は、生まれた時から障害を持っていた。 病名を知った時、その病気でそこまで長生きできるのかとびっくりし たのは、私が正しい知識を持っていなかったせいだろう。 幼い頃は一緒に遊べたそうで、そういう思い出がマダムBの心の中で キラキラ輝…
前々回の『支配と依存』というタイトルは、一人の人間の中に存在す るコインの表と裏の行為を表現したつもり。 支配する人と依存する人がペアになっている、という意味ではない。 誰かを「支配」することで、その誰かに「依存」する。 あるいは、その逆。 旅…
私が二軒目の滞在先ムッシューL宅に着いてほどなく、その日の夕食 にマダムDを招きたいと思っていると言われて、私は言った。 「彼女は今日は無理です」 もちろん、理由も説明。 マダムDは、私の最初の滞在先のマダムB宅で毎晩夕食をご馳走にな っていた…
私のブルターニュ滞在中、マダムDが私に対して母親面(づら)した のは、計二回。 彼女が、私の友人知人が口を挟めないほど一人で話しまくった回数と 比べると圧倒的に少ないが、悪質さは、たった一回でも多すぎるぐらい。 マダムDは私の友人だが、ほかの…
マダムDは主役になりたかったのだ。いつでもどこでも相手が誰でも。 「車でブルターニュまで送ってあげる。そうすれば、車の中でずっと話 ができるじゃない。あなたが友達の家にいるあいだ、私はあなたの邪魔 をしないし」 そう言って彼女はアッシー君を買…
先日テレビで、ロザンの宇治原が、 「洗濯物は左右対称に干すべきでしょ。それぐらい僕でも出来るし」 と言って、さんまから、 「カノジョは心の中で、乾けばいいだけ、と思ってるワ」 と軽くいなされる場面があったが、宇治原の言葉は、人の気持ちをわ かる…