やっぱり「悪意」…かなあ

 私は夏より冬が好き。厳密には雪景色とスキーが好き。
 ところが、私がスキーをすると言ったら、「あ、私、寒いの嫌い」と
言下に言い放った者がいた。「スキーなんてとんでもない」。
 幸い、彼女は私の友達ではなかった。
「幸い」と言うのは、相手の話や分野が自分自身の領分でないというだ
けで却下する姿勢を心貧しく思うからだ。
 あなたの趣味や感性だけが正しいわけではないでしょう。
 自分の興味の外の話でも、耳を傾けるくらいはできるんじゃない。
 それで未知の世界が拡がることもあるんだし。
 なぜ、その扉を閉ざすような振る舞いをするの。
 まあ、そういう自己中心的な選別により、人を篩(ふるい)にかけて
似た者同士でつるみたい意図があるなら別だけど。
 どちらにしても、そういう人とは友達になりたくないものである。
 と思っていたら、身近に伏兵がいた。
 私がスティーブン・キングが好きと言ったら、「あんなの」と友人が
一刀両断したのである。
 別に、私もキングの作品すべてを評価する者ではない。が、有名なと
ころでは『グリーン・マイル』。マイナーなところでは『ドラゴンの眼』。
これなんかは『ハリー・ポッター』の上をいく内容だと、心秘かに思っ
ているぐらいだ。
 自分はそう思わなくても、相手がそう言うのであれば、なぜ、と尋ね
るだけの心のゆとりはないものか。
 それとも、その時、たまたま、ほかにもっと話題にしたいことがあり、
強力な否定という表現をとってしまっただけなのか。
 でも、それだと、自分の興味や関心を優先したいだけのエゴになって
しまう。
 そういう人が友達でいいのか。
 たぶん、いいのだろう。
 なぜって、あの時はあんな風にあしらわれて不満だった、とあとにな
っても気持ちを伝えるチャンスがあるからだ。
 それが、友達未満の関係だと、ない。
 一瞬の却下は、自己否定されたという感覚を相手に与えてしまう。
 冒頭の彼女がああ言ったのは、そこまで思いが巡らなかっただけなの
かもしれない。
 が、結果として、今、私は、彼女と距離を置くようになった。