『風立ちぬ』を観る予定の映画館のホームページで、席の予約状況を確
認するついでに口コミも見たおかげで、別の映画館に行こうと気持ちが
変わったのは好運だったが、出かける直前のタイミングだったので、ち
ょっと焦った。
気持ちは、すぐには切り替えられない。
でも、去年の十一月にデジカメを買い換えた時もそうだったっけ。
それまでのは四百万画素。
2004年当時、六百万画素のも出ていたが、店員から、
「これで十分ですよ」
と言われ、それでも定価は五万円以上。
253MのSDメモリーカードは一万円弱。
四年後に一泊二泊の一人旅に持って行ったら、「メモリが足りません」
表示が出て、不要な写真を削除して空き容量を作ることになった。
その二年後。
旅行ではないが写真を大量に撮ると予想でき、SDカードを探したら、
1GBが千円弱。
えっ、嘘・・・。
唖然として、予備も含めて二つ購入。
それでもカメラを買い換えなかったのは、その必然に迫られなかった
から。
いや、写真はもっぱらパソコンの大画面で見るので、画像の輪郭の甘
さが気になり、もっと性能の良いのに買い換えたくなっていた。
けど、コレというのに出合えない。
一方、『デジカメに1000万画素はいらない』という本と出くわし、
しかも、この手の理屈に感化されない友達が、
「新しいデジカメより、昔のデジカメで撮った方が、プリントした時、
色が良いのよねえ」
回し者ような実感をつぶやくから、私は出鼻を挫かれる。
一眼レフに乗り出すほどマニアでもないしなあ。
私にとっての正解は、何・・・。
そんな中、去年のフランス旅行となったが、頻繁に写しすぎたせいか、
旅の終わり間近に撮影できない異常が発生。
撮れていた写真はパソコン上で拡大すると、やっぱりピンぼけっぽく
なるし。
最新のコンパクトデジカメの色調の薄っぺらさはそういうものとあき
らめて、新製品を買うしかないか。
ところが、次に写真を撮りたい時が来て、シャッターを切ると、普通
に撮れる。二、三ヶ月使わないあいだに自然治癒してくれた・・・?
なんにせよ、買い換え意欲は再び後退。
しかし、秋が来て、ついに色より解像度を切実に求める時が来た。
機種もほぼ決め、あすにも買いに行こう。
そのタイミングで、ソニーのDSC-RX100を知る。
あんなにあれこれ調べたのに、五ヶ月も前に発売されたこの機種は、
私の認識をすり抜けていた。
なぜ。
わからないけど、こんな風に最後の最後に差し出される愛の手が『天
の計らい』なのかも。