筋肉量に守ってもらう

 私のアレルギーの担当医は、アレルギー以外も専門で、サルコペニア
(加齢性筋肉減少症)の臨床研究を開始したらしく、彼と握手した格好
で全力を出すよう指示され、
「おお、いいねえ」
 と言われたが、ロコモ度テストを受けてみるかと聞かれた。
 ほぼすべての結果が優良な中、唯一、歩幅判定方法(2ステップテス
ト)が悪くて、大腿四等筋の筋力が足りないのだと説明されたが、腑に
落ちない。業務用マルチ周波数体組成計結果の脚の筋肉総合評価は中心
値で、脚部筋肉量点数は標準を大きく上回っている。
 帰宅してインターネットの動画で確かめたら、え、こんな低い姿勢か
ら足を蹴り出していいの。私は少し大股にしただけだった。
 次の時にそう言ったら、翌月の診察時に再度ロコモ度テストを受ける
よう予約に組み込まれた。
 その日が来るも、私は延期してもらうつもりだった。
 が、先にテストすれば診察室に入るのは一度で済むとわかったからか、
看護師から部屋に呼ばれて、だったら、まあ、いいわ。
 右手の握力測定を三回やり直した。今回は左手より劣っていると言わ
れたら、頑張りたくなる。三回目に驚異的に34.3kgが出て、看護師に普
段から何をしているのかと聞かれた。思いつくのは、テレビを観ながら
の適当ダンベルぐらいで、でも二の腕はプルプルで筋肉なしの様相なん
だけどなあ。
 2ステップテストは床のラインのほぼ先端まで到達できた。
 立ち上がりテストは、前回、両足で20cmだったのが今回は10cmで、
やっぱり軽く前回越えの快挙。
 でも、今回は裸足で挑んだ。靴下より滑らないから好結果になった可
能性は高い。
 握力検査も前回を3kg 強上回ったが、握力計から手を放しても疲労
感はなく、力を出し切った気がせず、本当の握力が計れたかは疑問が残
る。
 要するに、検査の前提条件が違ったり、ココが限度だと見極める地点
がその時々の感覚になるため、過去のデータとの比較には難あり、って
こと。
 が、血圧計を診察室で計ると高めに出るけど、それでいい、みたいな
もので、大雑把な目安がわかればいいのだろう。
 それにしても、ああ、筋肉量。
 ロコモ度テストに前後して母が入院して、患者の人達を観察できたこ
ともあり、筋肉量の重要性を痛感させられた。
 人は、筋肉の絶対量が多いと、何かの理由で一時的に減っても、まだ
余裕でいられる。
 見た目の細さより筋肉量と言ってもいいぐらい。
 とは言え、鏡に映ったふくらはぎが立派すぎるのが気になる私であっ
た。