私の肩関節周囲炎

 六月の末に、突然、右肩から下に向かう右腕の上部に違和感が生じた。
 皮膚の内側から立ち現われる変な感じ。筋肉がおかしなことになった、
と言いたいような感覚である。
 翌日には、腕を動かそうとするとグキッという音。
 腕がスムーズに動かない。
 使い痛めかなあ。
 なるべく動かさないようにしよう、と思っても、三角巾などで固定し
ない限り、どうしても動かしてしまう。
 腕が上がらなくなりそうな予感は、次の日には現実となり、湿布薬を
貼って寝るも、効果は不明。
 Tシャツのように頭からかぶる服は着られないと直感するし、実際、
着ようとして身体の前で手を交差して上下すると、右腕がきしんで抵抗。
 放置はまずい気がして整形外科へ。
 違和感自覚後、十日目である。
 レントゲン写真では、骨に異常はない。
 パソコンに向かう時間が長すぎて、肩周りの筋肉が凝り固まってしま
ったのかも。いわゆる四十肩、五十肩。
 診察後、リハビリ室で、三十分ほど右腕周辺の筋肉を揉みほぐしてく
れ、最後に、家でできるエクササイズを二種類伝授された。
 一つ目は、背中側で両手を組み、肩甲骨に寄せるようにして上に上げ
る動作。
 二つ目は、右手を右肩、左手を左肩に軽く当てた状態で、それぞれの
手を上に持ち上げ、下に降ろす。肩を起点にぐるぐる回す。
 どの場合も、肩をいからせないよう注意する。
 安静ではなく、積極的に動かすのが正解だったのである。
 腕をぐるぐる回すのは、腕が上がらないし、思わず「痛い」と声が出
たが、忘れないように簡単な絵を描いてください、と無茶なことを頼ん
で、描いてもらっている間もやっていたら、痛いながらも回せた。
「あ、回せましたね」
 立った時、耳が肩の上に来ておらず、正しい姿勢でないことも指摘さ
れた。
 治るまでに一ヶ月の人もあれば、六ヶ月以上かかる人もいるとか。
 じゃあ、私は。
 リハビリは完全予約制ということで、最短で取れたのは二週間後と三
週間後。
 家で、さほど熱心にではなく、教えられたエクササイズをしたりして
いたら、わずか二日目にして、右腕の外側の一箇所に張りを感じるだけ
になり、それも夕方には解消。
 治っちゃった。
 こんなことなら、リハビリの時、目を閉じて身を任せていないで、理
学療法士の施術を盗み見しておけばよかった、などと思いつつ、薬なし
でかくも呆気なく回復したことに、きょとん。
 リハビリって、気休めじゃなかったのね。
 ごめん。
 ありがとう。