幸せは、今のあなたの中に、ある

 きのうは友達の家の餅つきに招待されたので、クリスマスというより
迎春準備。
 一方、正月は、母親が、
「特別なことはしなくてもいいかなあ」
 私も、喉と鼻のアレルギーを発症中で、「大」抜き掃除でお茶を濁し
たい気分なので、淡々と地味な正月になるかも。
 それもまた良し。
 でも、年末なので、一応、一年を振り返っておく。
 長年風邪だと思っていたのはアレルギーだと判明し、アレルギー科の
病院も見つかった。
 好運だなあ。
 買ったばかりのバッグを持って外出したら、バスの中で肩ベルトがす
るりとほどけ、その拍子に小さい輪っかが落ちた。
 家に帰って気がつき、バス会社に電話すると、
「見つからなくてもかまいませんか」
 見つかりそうにないと仄めかされたが、見つかった。
 感謝です。
 久しく音信不通だったフランス人から、三月十二日に、あなたは無事
だったのかと国際電話。
 ありがとね。
 母親とデパートに行くのにキャリーも持っていったら、それに気を取
られてか、トイレにリュックを置き忘れ、地下まで降りて、あ、と青ざ
め、エスカレーターを駆け上がるも、無人のトイレにリュックはなし。
 が、トイレを出ると、目の前にリュックを手にまちかまえている店員。
 届けてくれた見知らぬ人よ、心の底から感謝です。
 食べ物を噛むはずが素の舌を鋭く噛み、そこが小さな三角錐に突起し
たのは一生そのままかと暗くなっていたら、やがて自然に元の位置に埋
没してくれた。
 自然治癒力に、感謝。
 場所により集中豪雨、と予報があった夏のある日。
 晴雨兼用のパラソルを電車の座席に置いて眠り、駅に着いたのでゆっ
くり立ち上がると、近づく男性。
 私の席を狙っているのね。
 正解だったが、
「傘、忘れていませんか」
 背後から声をかけてくれて、ありがとう。
 スーパーで籠にスイカを入れた直後、店員が新しいのを運んできたの
で、籠を彼女の視界から隠し、首を伸ばして見ていたら、次に棚に載せ
るべく手にしたのを、
「これは重たいし、美味しそうよ」
 と手渡してくれて、ありがとう。
 でも、
「どんなのを取ってたの」
 籠の中のスイカのことを聞かれて、なーんだ、バレバレだったんだ。
 恥ずかしかったけど、正しい選び方を教えてくれて、ありがとう。
 カナリアのピィの死後、二ヶ月ほど経ってから、餌をベランダに撒い
たら、一週間ほどやきもきさせられたものの、また、雀たちが戻ってき
てくれた。
 毎朝、可愛い鳴き声をありがとね。
 来年も、さまざまな幸せに恵まれますように。