座席指定変更のページ

 無人化が進んでいる。
 客が先方の労働力の一端を担わせられる仕組みだが、自己完結したい人に
は人気だとか。
 でも、駅の券売機の前でどのボタンを押したらいいかわからなくて立ち尽
くしている人を見ると、もちろん手助けするけど、私もそうなるかもしれな
い日を想像させられる。
 近くのスーパーマーケットに、専用タブレット端末置きが付いたカートが
出現した。
 私は買い物中、
「今日これが安いんだ。だったら、あれを買って、買うつもりだったこれは
返そう」
 と考え行動するのに忙しくて、買う物をタブレットにかざすような悠長な
ことをしている暇はない。
 けど、こんな私がすべからく自己完結に否定的かというと、そうではない。
 フランス行きの飛行機の手配を旅行代理店に頼んだ。
 座席指定は選択可能な番号を言ってもらい、私が選択。担当者と電話で話
しながら、私は私のパソコン上でJALの座席一覧を見ていたのだ。
「トイレから遠い窓側の席」
 と希望を伝えたあとは担当者に委ねるしかなかった時代を思うと、この曇
りのなさは実に爽快。
 だが困った。
 座席指定したあとでもインターネット上で変更できるので、そのページに
入ろうとしたら、入力内容は正しいのに、間違っているという警告。
 JALのホームページから直接でも、検索エンジンに「JAL 座席指定
変更」と入力しても同じページが出るので、もしや予約が取れていないのか、
と心配になってきた。
 代理店に確かめたいが、もう夜。
 翌朝まで持つ辛抱ができなくて、入力の単語を変えたりして悪足掻きして
いたら、JALの公式ページだがこれまでと違うページが出て、そこからだ
と座席指定変更のページに進めた。
 このページに遭遇できなければどれほど不安だったかと思うと、原因を知
りたい。
 しかし、喉元過ぎれば熱さを忘れる。
 もし多くの人に同じ現象が起こっていたら、誰かが声を上げるだろう。
 でも、ことスーパーマーケットのカートについては意見した。
 端末置き付きカートだと、選んだ物をカゴに入れる時や精算後に取り出す
時、いちいち行動を阻害されて、イラッ。
 タブレット端末置きなしのカートを使いたくても、ない時がある。
 あっても、端末置き付きカートの奥に並んでいて、取り出せない、などな
ど。
 同じように困っている人はいたようで、朝礼でその話が取り上げられたそ
うな。
 カートは、係の人がこの二種類を分けて整頓してくれるようになった。