葡萄は冷凍

 昨晩、羽毛布団を出した。途中をすっ飛ばしていきなり羽毛というの
はどうかと思うが、それしかないし、それで特別問題は生じていないの
で、ま、いいか。
 朝は、日の出の時刻をしばらく過ぎてから、いきなり朝日が深く室内
に入り込むようになった。日の出の位置が東から南東へと大きく移行し、
すると、生まれたての太陽は、東南に位置する目の前のマンションに遮
蔽されることになり、そこを抜け出た時が我が家にとっての地平線とな
るせいだ。
 しかし、昼間はまだ夏を引きずる暑さなので、二つの季節を行き来し
ているような妙な感覚になる。
 だが、葡萄をもらって、味覚は一気に秋。それも大粒の巨峰だ。嬉し
いなあ。
 我が家に約一名、葡萄は好きだが巨峰しか食べないというややこしい
人間がいるので、もらった箱ごとあげた。我ながら太っ腹ではないか。
自画自賛しなければ、もっと人徳が高まるのだが。
 さて、この巨峰、一房にたわわになっていたこともあるが、「全部あ
げる」と言われると、その言葉に従う欲の深さが気になるのか、「一人
じゃ食べきれない。食べやすいよう小分けにしといたから、適当に食べ
て」と私に権利が舞い戻ってきた。
 そんな話をしたら、「葡萄は冷凍したらいい」と教えられた。食べる
時は、水の中に1〜2分浸けてから食べると、皮が実から剥きやすくな
るそうな。
 早速やってみたら、タッパーウェアに入れたからだろうか、聞いてい
たほど、実がシャリシャリ、シャーベット状にならず、いい感じ。もち
ろん、皮は生の時より格段にむきやすい。
 そう言えば、『伊藤家の食卓』で、焼き茄子の皮を剥きやすくするに
は、焼く前、テーブルの上などで、茄子全体をまんべんなく叩くとよい、
というのがあったが、これも本当で、この夏、大活躍してくれた。
 こういうちょっとしたコツで手間が省けると、それまで敬遠していた
作業を率先して楽しみたい気分になるから、ありがたい。
 しかし、この『伊藤家の食卓』。高視聴率だし、良い番組と評価も高
いのだが、意外に子供達には不人気なのだとか。親の腕試しに巻き込ま
れたくない、というのがその理由だとか。
 わかる気はする。