メール送信ミス

 電子メールは私の生活の日常だが、今まで一度も送信ミスをしたこと
はない。それが、なぜか数日続いてしまった。ショック。
 仕事にまつわり、いくらなんでもそれは理不尽だろうと思うことがあ
り、持って行き場のない怒りを誰かに受け止めてほしくて、仕事とはま
ったく無関係の、気の置けない友達にメールを送った。仕事の隙を狙っ
て、パソコンのフリーメールからの送信である。
 携帯は、親指操作がいらいらするのと、文字制限があるし、画面も小
さい、などというのが性に合わず、結果的に使用頻度は皆無に等しい。
ところが、私の友人知人は、パソコンと携帯電話を併用していても、携
帯の方を好む。まあ、どちらにリアルタイムに反応できるかの状況の違
いがそうさせるのだろう。
 その友達は携帯の方が常時接続の環境にあったので、文字制限を考慮
して、「怒りその1」から「その2」「その3」「その4」の続き物に
してみた。
 半時間ほどしてから、ふと、キーボードを叩きつけるように打ちまく
ったことが心配になり、送信ファイルを確認してみたら、3通目と4通
目が、同じアルファベットから始まる別の友達のアドレス宛てに送信さ
れているではないか。
  と、まさにその時、「間違いメールみたいよォ」とメールが入った。
「読まずに捨てるから」。
 その態度にいたく感激し、「なんて大人」と書いて送ったら、「仕事、
大変そうね」と返信が来て、彼女に、自分の書いた内容への自覚はある
のだろうか。
 その後も、この友達には何度か間違いメールを送ってしまい、頭に血
がのぼったままアドレスをクリックする時の操作ミスを回避すべく、ア
ドレス帳の名前の配置転換を行なった。
 それにしても、間違いメールとわかっていても読みたいのが人の性
(さが)なのか。  
 職場の部署内専用メールを利用してアナウンスを送る際、対象外の相
手にも送ったことに5秒後に気がつき、別に読まれて悪い内容ではない
けれど、その人の頭の中に「?」マークを点滅させることになるのが申
し訳なく、今なら配信を撤回できるかと空に向かって質問を放ったら、
「簡単ですよォ」の返答。
 私はその声の元にすっ飛んで行った。ところが、「ん。どれかなぁ」
と言いつつ、中身も見ないで「確認」ボタンを押す輩(やから)が出現
した。しかも、1分以内に同じ行為に及んだ者2名。
 これって、どうよ。あとで「性根がよくわかった」と言っておきまし
たけれど。