英語のレッスン日用の〃でかバッグ〃は、そのブランドが得意とする
パステル・ピンクに一目惚れしたのに、目立ちすぎる気がして、グレー
を選んだ。先月のことだ。
ところが、スポーツバッグにはあり得ぬエレガントさは、売れ筋にな
れなくて、後継デザインも製造されぬまま姿を消し、いつか同じような
のが買いたくなっても入手できなくなる不安を感じて、デパートに電話
をかけたら、ピンクのは「まだ、あります」。
ただ、店頭に出ている現物しかないのはいいとしても、そのせいで変
に汚れたりしていませんよね、と確かめたのがいけなかったのか。
底の縫い糸にひと針分ほど青くなっている箇所があり、「これでは売
れません。他の店の在庫を回してもらえるか、調べてみます」
そして、「メーカーから届いたんですが・・・バッグの内側の白い裏
張りに一ミリほど黒いしみのようなものが付いていて、どうぞ、とは言
えないんです」
メーカーの品質チェックをパスしたはずの製品に駄目出しする厳しさ
には驚かされるが、そのピンクは諦めろ、という天からのメッセージか
も。
が、えいや、と購入した。
続いて、レース使いの白いフレア・スカート。
これまた、私のテイストではない。
なのに、なぜか買ってしまい、そのスカートとピンクのバッグで行っ
たら、英語を教えている子の母親から、いたく褒められた。
この人も、フランス人の友も、ピンク&ふりふりが大好きで、私は、
無意識に、彼女達の感化を受けていたのだろうか。
まあ、それで、新たな自分が発見できるなら、悪くない。
と思っていたら、女性は、昔、果実を採取するの役目があったため、
熟した果実の色に敏感になり、それが若い人の赤やピンク好きに結びつ
いていると、イギリスの大学が科学誌に発表したそうな。農耕民族の日
本人にも当てはまるのか、とか、なんで若い人だけ、と疑問は湧いてく
るものの、「恋する乙女のピンク好き」は直感的に納得できる。
じゃあ、良き感化と思ったのは、血迷って暴走しただけ?
反省しかけたが、高校の同級生の帰郷に合わせたプチ同窓会には、ピ
ンクの上と白いスカートで出席した。
今さら、ひとの旦那となった者達を、たぶらかそうというのではない。
男の永久のロマンに寄り添ってあげようとしたのだ。
そんな私に、「あの頃は長い髪だったのに」。
ロングヘアも、根強い男のロマンであると、改めて思い知らされた。