プレゼントに、8%の苦痛

 年明け最初の、英語の家庭教師の日。
 小学二年生が「持ってきてくれた」と聞く。
「うん、持ってきたよ」
 本当は去年のクリスマスに渡したかったのだが、入手が遅れ、ちょう
どヨーロッパは豪雪だったので、「サンタさんから雪で来れないと連絡
があった」ということにして年末に突入していたのだ。
 私の家庭教師先で、ここの母親だけが、歳暮とお中元に、デパートの
金券をくれる。
 昔ながらの慣習を守ってくれるその母親に対し、幾ばくかでも気持ち
を返せたらと、クリスマス・シーズンを利用している私。
 おととしは、中学生と小学生二人のそれぞれに、私からと言ってプレ
ゼントを渡した。でも、個別のプレゼントは考えるのが面倒なので、今
回は全員で楽しめるゲームにしたい。
 候補は、アルゴゲームのシリーズ。
 ところが、その面白さが広く認知されておらず、売れなかったのか、
本屋から売り場が消えていた。
 ならば、デパートのクリスマスの広告で見た、リサとガスパールのジ
グソーパズルね、と買いに行ったら、すでに完売。
 悔しいけれど、おかげで「ジグソーパズル!」と心は決まった。
 さあ、Amazonチェックタイムである。
 店に売っていない時の助っ人、オンライン・ショッピング。
 ところが、まずはすべてを見たくなるし、次に予算に合わせて絞り込
むと、そこから一つを選ぶのに迷うし、さんざん悩んで選んでから、も
しかしたら却下した中に子供達が好きなのがあるかもしれないと思えて
きて、再度、丁寧に見直す・・・などということをしていたら、時間は
あっという間に過ぎる。
 たかがプレゼントに半日以上悩む必要があるのか、と感じないではな
いけれど、喜んでほしいと思うと、そうなるかどうかは相手次第だとし
ても、検討し尽くして選んだ自己満足があれば、少なくともすがすがし
い納得は手に入るので、そこで手抜きはしたくない。
 子供達は、レッスンのあと、夕食も食べずにパズルに熱中し、途中、
空腹にたまりかねて食べに来ても、そそくさとパズルに戻り、その静け
さは、おかあさん曰く「こんなこと、絶対にあり得ない」。
 私は、夕食をご馳走になり終え、おかあさんと世間話をするも、さす
がに腰を上げたら、「もうすぐ終わるから、待って!」
 結局、子供達は二時間半で二百ピースを完成させた。
 私が捧げた時間と労力は、最高に報われた。
 けど、選び疲れた記憶も忘れられないんだなあ・・・。