日本は、米も輸入だったの

 帰宅が遅くなった日の楽しみは、閉店間際のスーパーマーケットで総
菜や寿司を買うこと。
 夜遅くまで、ごくろうさん。
 そんな優しさを、赤い半額表示の値札に感じるからだが、改札口から
一緒に先を競い合う人達がいないことに面喰らった夜、売り場を見て、
驚いた。
 商品はあるが、全部、定価。
 見切り価格で売るぐらいなら、売らない方がまし、という事態になっ
てしまったのか。
 じわじわ厳しさが迫っているなあ。
 だが、小麦粉の値上がりを受けてパンや麺類が値上がりする情報が駆
けめぐった時、テレビ局の取材に「じゃあ、何を食べたらいいの」と発
言した人の言葉には、「ええっ?」。
 だって、日本人には〃米〃回帰という力強い戦法がある。
 冬は白菜、今ならきゅうりを切って塩と昆布で浸けたのを、お米が隠
れるほど乗せて食べるだけでも美味しいし、これに卵焼きと、魚か肉か
豆類などの蛋白質が添えられるなら、まだまだ食べ物には恵まれている
ってこと。いっそ、これをきっかけに、訳のわからぬ添加物てんこ盛り
の似非飽食から抜け出してもいいだろう。
 もちろん、従来のチーズを工業的に水増しする方法で、でも従来通り
の味を実現したらしいどこかの工場製チーズを使ったピザやチーズハン
バーガーに固執し続けるのも、悪くない。
 それでもどうしても無理になったら、米があるからねぇ〜。
 悠然とした気分でいたら、食料価格が我が国同様激しく高騰している
フィリピンに、輸入米を約20万トン対外援助するという新聞記事に出
くわして、一瞬、理解できない。
 日本は、米だけは自給できているんじゃあなかったの。
 九十三年のウルグアイ・ラウンド合意で海外から米の輸入を義務づけ
られたと知ると、超一級の日本米を自己否定させられたような悔しさを
感じるものの、高度な外交政策上、必須だったと納得するとして、なら
ば、減反などせず、日本米の良さを世界中に広め、輸入を上回る輸出を
実現すればいいのにと思う。
 世の中は、普通の頭ではわからないことが多いなあ。
 六十九歳の既婚女性が、四十代前半の独身だと偽り、四十九歳の男性
から百万円騙し取った結婚詐欺もそう。
 態度に不審を抱かれ、御用となったらしいが、二ヶ月間でも騙せたわ
けでしょう。
 二十歳以上若く騙せた秘訣を是非とも学びたいものだが、輸入米と違
って、新情報が出てこない。
 どこかの週刊誌で取り上げてくれないかしらん。