困っても、困らない

 きのうの朝、iMacのディスプレイに一ミリほどの白い線が現われ、上
から下にツツツーッと降りていった。
 もう消えない。
 買ってまだ二年九ヶ月で、故障なの? 
 日頃の酷使を思えば、納得できなくはないんだけど。
 それに、修理に出せば治るんだし。
 この現象なら、ハードディスクを初期化しないで修理される可能性が
高いと言われたが、修理の過程で情報を盗み見したり悪用されない保証
はないから、私自身が初期化して修理に出すのがまっとうなるリスク管
理。
 ただ、そうすると、特に、修理から戻ってきた時に、今の状態まで戻
す作業が面倒臭い。
 外付けHDDを勧められた。
 これで起動ディスクごとバックアップすれば、戻ってきてからの作業
をかなり軽減できる。
 おお、そうなんだ! でも、実際に作業するには、手順と操作を詳し
く知っておく必要がある。
 専門雑誌の過去の号にそういう特集があったかもしれないけれど、購
入時のパソコン環境から大きく改善、進化させたい野望のない私は、こ
の方面の向上心とは決別して、何年も前から、立ち読みすらしなくなっ
っている。
 祈る思いでインターネットに救いを求めたら、好運にも、私のiMac
環境にどんぴしゃの情報に辿り着いた。が、FireWireで接続、と書か
れていて、USB接続では駄目なの、という疑問には答えてくれない。
 パソコン本体の相談でないと相手にされないかなあ、と思いつつ
Appleに問い合わせたら、USB接続の方がもっと簡単にできるというこ
とで、その方法まで教えてくれ、おかげで専門雑誌や本を探さなくてよ
くなった。
 じゃあ、たぶん、いつも贔屓の専門店から取り寄せるつもりだけど、
近くの大型量販店にはどんな製品を置いているのか、ちょっと偵察、と
行ったら、私が候補に絞ったその物ずばりが、一週間限定のキャンペー
ン価格で出ている。
 魔法のようなタイミングに、一瞬不安になるものの、こういう流れに
乗ることが好運のコツ、と思い出し、贔屓の店には、心の中で「ごめん
なさい」して、即、購入。
 修理は、最短で引き取りに来てもらっても、連休に当たって次の動き
が滞ると聞き、連休明けまで延ばすことに。
 つまり、初めての外付けHDD体験を、焦らず、時間をかけて連休中に
すればいいってこと。
 どうせ故障する運命にあったとしたら、このタイミングで故障してく
れたのは、もしかして、これ以上ないグッド・タイミング?
 そう思うことにした。