批難の技術

 自分の感じ方、考え方が、唯一の正解ではない。
 それに、あれは自分がまずかった、と今は思っていても、素直にそう
言えないこともある。
 自分を取り繕うし、嘘もつく。それが人間。
 それでも、人の、特に自分が反感を抱いている相手の言い分にも耳を
傾けることが重要ではないか。
 マスコミが真実のみを報道しているのか。
 一つのストーリーにまとめ上げるため、故意に切り捨てられた事実は
ないのか。
 もちろん、切り捨てられた中にこそ真実が隠されている、と意気込み、
探し出してきて発言の場を与えたら、天性の詐欺師のように口がうまい
人間で、まことしやかな自己弁護にころりと騙される・・・なんてなら
ないとも限らない。けど、そうなるのは、誰にも、何にも五パーセント
の疑いを持ち続ける〃大人の精神〃を手放したせいの自業自得。
 情報は、増えるほど、判断材料が増える。
 その可能性を広げてくれたインターネットは、すごい。
 ただ、あの店の対応はこうだった、とブログで批判するのは、誰が読
むにしろ、読まないにしろ、不特定多数に訴えようとする意図であり、
その場で相手に意見するのでなく、あとで公衆に告げ口するだけとした
ら、あまりに姑息さだし、それで仲間が増えて兵糧攻めできたら、と画
策しているなら、それはいいことかなあ・・・などと考えていた私が、
前回、〃携帯熱中症計〃を開発したはいいけど、買いたい人みんながす
ぐに買えるように、という心意気がまるで感じられない日本気象協会
及び、その委託販売会社の姿勢を愚痴った。
 でも、ホリエモンのきのうのブログ『SonyStyleの対応が、ちょっと
イラっとくる。』を読むと、「ま、いいか」と自己肯定。
 彼のブログも、インターネットで商売する会社が、そんな商売の仕方
でいいのか、と問う内容だったが、頭にのぼった血を三段階ぐらい下げ
た冷静さで事の顛末が書かれていて、彼の思惑通り、読んだ人は、そり
ゃ向こうが変だ、と心理誘導される。
 言葉で自分の気持ちを説明できると、そうできる。
 結果、自分自身の怒りも鎮火しやすい。
 言葉が豊かだと生きやすい理由である。
 さて、名指しされた会社は、もっともな指摘、と思ったなら、改善す
るだろう。
 無関係な人も、自分の仕事を振り返り、改善すべき箇所が見つかった
ら、めっけもの。
 それにしても、「インターネットで商売してます」って看板だけじゃ
あ迷惑なのに、まだまだ、そういう会社は多いんだなあ。