怒りは、すぐに手放す

 みたび、同窓会の話になるが、私が撮った写真は、室内なのにフラッ
シュをたかなかったため、手ぶれ写真が予想以上に発生した。八分の一
というシャッター速度のまであった。
 二秒後のセルフタイマーにすれば、シャッターを押す指の動きで手ぶ
れするのを防げるが、「あ、この表情!」という時、二秒後は遅すぎる。
 輪郭のシャープさには目をつぶることになったが、その人らしい表情
を写し取れたので、満足。
 でも、撮られた人もそう思ってくれるかなあ。
 私なら、実際以上の美しさを望んでしまいそうだもの。
 ウェブ公開用のサイズにまで画像を縮小すると、雰囲気が伝わればい
いという見方になることを発見して胸を撫で下ろしたが、もしオリジナ
ルをほしいと言われたら?
 私にアップロードの技術がないため、写真の縮小とウェブへの掲載を
託す予定だった友に、やってみたら私にできちゃったと報告すると、私
が採用した縮小サイズは、彼が自分のホームページで写真公開する時の
サイズと同じだから正解だったよ、ただし、彼の場合は、オリジナルを
ほしがる人を想定して、フルサイズのページも作成している、誰もそん
なことは求めていないみたいだけど。
 その文面から、彼も、オリジナルは入手して当然と考えるタイプとわ
かって強く共感したが、私達のような人間の方が特殊だって言うの。
 フツーは、自分が写った写真は手に入れたいと思うもんでしょ。
 ちがうの・・・。
 どうも納得いかない。
 写真を撮る側と、撮られる側の、写真への思い入れの差ということに
なるのだろうか。
 おかげで、私ならそう思う、という発想をすべての人に敷衍(ふえん)
しようとする危険性について学べて、良かった。
 実は、会がお開きになった直後、一人のモト女子がウェブへのアップ
ロードを引き受けると申し出てくれたので、写真を送る前にアドレス確
認のために文面のみのメールを送ったら、写真の件は黙殺して、「楽し
かったねェ〜」みたいな中身のないメールが送り返されてきた。
 幹事は、彼女にはできないって断られたよ、と言うし、で、急遽、全
然無関係の高校の同窓生にすがる次善の策が決まったのだ。
 アンタが、してあげるって、自発的に言い出したんだよ。
 問い詰めたいところだが、彼女なしで事は成ったので、彼女のことは
すっぱり放念することにした。
 大切なのは「心の平穏」。
「真相究明」に燃えると、その道から遠ざかる場合もある。