合う薬や〜ィ

 次回もこの薬を処方されるのか否か。
 それは私の実感次第。
 そう思うとまごつくが、今飲んでいるのは漢方薬の麦門冬湯(バクモ
ンドウトウ)である。
 咳が出ると、
「げほげほ」
 と咳き込む極限まで行き着くし、喉に痰が絡んだ感じになると、
「えへんえへん」
 前を行く見知らぬ人を振り向かせてしまう。
 もしかしたら自分と同じ咳喘息では、と知人に言われて初めて、あ、
治せるんだ、と気がつき、近くの内科医に行った。
 去年の十二月のことだ。
 私の話を聞いて、
「咳アレルギーでしょう」
 と処方されたのは、アレグラ。
 眠くなりにくい、優秀なる第二世代の抗ヒスタミン剤
 けど、処方は五日分。
 次の診察時にはニポラジンが加わり、症状が治まるも、今年の一月に
再び症状が出ると、アレルギーの知人達は薬をもっと長期間分処方して
もらえているのに、なぜに私は五日間。診察料を小刻みに稼ぐためかと
勘ぐりたくなる。
 血液検査もなし、というのはさらに不満。
 インターネットで、大学病院の医師によるアレルギー専門外来のある
病院が見かったので、即予約し、二週間後の初診の日。
 問診票の最後の希望欄に、私は書いた。
「アレルギーの原因を特定し、正しく対処したい」
 だからだろうか。
「どうせだったら全部調べましょうか」
 私は素直に頷き、血液検査や肺活量測定、レントゲン撮影等を終えた
その日の診察料は八千百円。
 えっ?!
 いや、なに、アレルゲン検査を全項目したらそんなにかかるとは知ら
ず、所持金ぎりぎりで、ちょっと慌てたのです。
 何はともあれ、二週間分のアレグラを処方してもらい、二週間後、三
十三項目のアレルゲン検査結果が手渡された。
 杉もヒノキもネコも犬も小麦もエビもミルクも卵も蕎麦もゼロ、ゼロ、
ゼロ。
 ・・・。
 言葉もない。私も医者も。
 そしてこの日、薬はアドエアに変わった。
 ステロイド吸入薬と気管支拡張薬の合剤で、気管支喘息特有の気道の
“炎症”と“狭窄(きょうさく)”の両方に効果を発揮するそうな。
 なるほど私にぴったりみたいね。
 診察は一ヶ月後なのにアドエアは二週間分というのは不安だったが、
新薬はそういうルールだと、あとでインターネットで調べてわかった。
 医者の言葉をインターネットが補足してくれる。
 ありがたい時代である。
 さて、一ヶ月後。
 効果が感じられたかと問われ、
「うーん、特には」
 これにて、アドエア終了。
 代わって今は麦門冬湯。
 もし、この薬でも私が効果を実感できなかったら・・・。
 今は考えないでおこう。