アレルギー科の医者に、
「薬はちゃんと飲んでいますか」
と聞かれ、
「はい」
答えるも、質問の真意を測りかねて、きょとん。
「それは感心」。
へっ?
ますますわからん。
「高いお金を払うのに、飲まなきゃ、もったいないじゃないですか」
「そういう患者さんばかりだと医者はラクなんですけどねェ。世の中、
変な人がいっぱいいるんですよ」
えー。だったら、そういう患者の真意がわからん。
薬代が高すぎて買えない、というのならわかる。今、その道を行きた
い気持ちむんむんの私。
けど、買っても飲まないなんて、あるのか。
あった・・・!
友が、メールの中にサラッと一行、仕事と私生活のストレスのせいか、
体調がむちゃくちゃ、と書いてきた翌朝。
「心やからだが少しぐらい不調でも、思わず″幸せ″と口にしたくなる
ような朝ですね」
と ″おはようメール″を送ったら、体調でも悪いのかと私の方が心
配され、
「いや、私とて人並みに病気はしたが、病気の人への思いやりが足りて
いなかったかも、とアレルギーで通院するようになってから感じるよう
になっていて、ああいう文章を書いてみたんだけど、そうかあ、やっぱ
り柄にもなくて、却って心配させちゃったか」
と書いてから、今の治療に辿り着くまでの経緯をダーッと書いた。
すると、彼女から、実は皮膚がアレルギー体質だし、貧血症だし、慢
性鼻炎で、と初の告白メール。
慢性鼻炎は、何軒目かの耳鼻科の薬と漢方薬で症状が改善したが、途
中で通院を止めた。長く薬を飲み続けることに不安を感じたからだとか。
その結果、
「症状は以前よりマシになっているけど、いつもなんかスッキリしない」
食へのこだわりの話になると、彼女の厳格さは、私など足元にも及ば
ないぐらい。
手作り化粧品派の彼女が使う原料は十種類以上。全部書きあげてくれ
たが、私が作っていた頃は二種類だったので、これまた、私が完敗。
ただ、彼女自身、
「情報は豊富に持っているのに、食べ物にも水にも気を遣っているのに、
なぜか体調不良の私がいろいろ言っても信憑性がなさそうだけど」
と自覚していて、私は、
「一度、信頼できる医者に通って、きっちり治したらどうかなあ」
症状に合った薬を途中で止めたら、結果が見極められない。その医者
の見立ての善し悪しも判断できない。
もっとも、薬を感情的に忌避したい気持ちは、わからないではない。
フランスで入院した時、私は彼女と同じことをしたのである。
入院患者だったのに。