思いは実現する

 願えば叶う。引き寄せの法則
 でも、そうならないことも多い。
 私は、五十年前の手巻きの腕時計をもらって嬉しかったのに、使える
かどうか試している最中に壊してしまった。
 こんなの、私が望んだ未来じゃない。
 それでも、私が望んだ未来だったと考えてみた。
 すると、手巻き時計は年代物の面白さはあるが、毎日螺子を巻くのは
面倒だなあと思う気持ちが心の奥底に潜んでいたことを発見。
 紅茶に、砂糖ではなく塩を入れる。
 相手の名を呼んだつもりが、別人の名前を言って、揉め事に。
 日常生活の中でも、普通だったらあり得ない事をしでかすことがある。 
 うわの空だったから、ぼんやりしていたら・・・。
 つまり、気を抜いた途端、解き放たれるのが無意識ってこと。
 それでは困るから、意識で無意識を制御して、つつがない日常を成立
させている私達。
 しかし、この応用で「未来の願望実現」を目指しても、うまくいかな
い。願望実現は、思いが百パーセントの世界だからだ。意志ではなく、
無意識のみが引き寄せの種となる。
 無意識とは、心の奥底の枯れない泉から絶えず湧き出ている本当の思
い。
 それは、目の前の現実が教えてくれる。
 自分の本当の心が引き寄せた結果が、今、自分の周りに広がっている
世界なのだ。
 それが気に喰わないからと、意志の力で輝く未来を思い描いても、心
が今のままでは、そういう未来は来ないだろう。
 まずは心の泉まで降りてゆき、醜い、情けない、傲慢な、あるいは卑
屈な自分自身を発見して、ああ、やっぱりね、と認める。それだけでい
い。だって、本来、嫌な部分も含めて自分自身なのだから。
 でも、もし許容できないところがあるなら、こういう場面でこう心が
動く自分はなぜなのかを見つめて分析してみる。自分で自分に心理カウ
ンセリングを施すわけだ。それを続けていると、今までと違う考え方が
できるようになるかもしれない。
 なんにせよ、この現実を引き寄せている今の自分でいいのだ、と思え
るようになること。
 そうなれたら、何が起こっても、誰かや何かのせいにせず、腹を括っ
て立ち向かえるし、何より、引き寄せの種が変化したのだから、今後引
き寄せる未来が変わる。それに、鉛筆を使いたいと思ったら、次の瞬間、
鉛筆を握っている自分自身になんの不思議も感じないように、今までだ
ったら無理だったことがたやすく実現して、当たり前だと思えるように
なることもあるだろう。
 だから、やっぱり、この世は引き寄せの法則
 私はそう理解している。