引き寄せられない未来もある

 前回、引き寄せの法則を駆使しても願いが叶わない場合もある、と書
いたつもりだが、そういう言葉で書かなかったので、願った事は絶対叶
うと受け止められたかも、と不安になってきた。
 別の書き方でもう一回書いてみる。
 引き寄せの法則を信じたくなるのは、自分の今や人間関係に満足でき
ていない時であろう。だが、そういう時に意志の力で素敵な未来を思い
描いても、無理。それだったら、具体的に行動した方がよっぽどいい。
 ただ、行動しようにも、どう行動すればいいかわからない場合はある
かもしれない。
 その場合、自分が強烈に不快に感じたり、悲しく感じたり、腹が立っ
たりする事が起こったら、自分が反射的に何をどう感じ、どう反応した
かを考えてみる。すると、こういう言い方をされたらこう考える自分、
というような定型が見つかるだろう。そういう思考回路で生きている自
分なのだと自覚するわけだ。
 その後の道は二つ。
 一つは、そういう自分でいい、と自分自身に承認を与える。
 未来は、今のままの自分が引き寄せるから今の延長線上となるが、私
はこう考える人間だから、まあ、そうなっても仕方ないな、と笑って容
認できるだろう。でも、同じ事が起こっても、前ほどストレスに感じな
いはず。
 もう一つは、違う考え方を取り入れてみようと決意する場合だ。
 自分の言動が変わるから、当然、相手の反応が変わるし、起こる現象
も変わる。放っておいても未来が変わるわけで、その新しさに慣れるこ
とが先決となる。
 どちらの場合も、こういう自分でよい、すなわちこういう自分が大好
き、と言えるようになる点では同じである。
 この心境に至って初めて、引き寄せの法則を正しく実行できる状況が
整うのだが、ここからの道はまた二つに分岐する。願いが叶う場合と、
叶わない場合だ。
 ところが、たとえ望んだ未来にならなくても、
「そうか。この件に関しては、願いが叶わないことが自分のためなんだ
な」
 というような変な納得ができてしまう。
 達観した運命論者のごとくになるのだ。
 なぜか。
 一瞬一瞬の選択の積み重ねが生きることだとすると、自分がもっとも
信頼している大好きな自分自身が一つ一つ選択していった結果が目の前
の現実だということで、不平が出なくなるのだろう。
 引き寄せの法則を実行するには、まずは自分が自分自身を大好きにな
る。
 すると、引き寄せの法則が必要なくなる。
 そんな摩訶不思議な展開になるのが、この法則の奥義(おうぎ)だと
感じている。