自分を大事にする

 引き寄せの法則を学べば願望が実現すると信じ、いろいろ本を読みあ
さった結果、仮にこの法則が存在するとしても、自分が自分を大好きに
なることがスタートラインだと気がついた。
 未来を引き寄せる自分の心の奥底の思いを調整せずして、薔薇色の未
来を熱心にイメージしても無理。
 まずは自分自身を大好きになる。
 しかし、実は、これが一筋縄ではいかない。少なくとも、引き寄せの
法則を本気で信じたくなる心理状態の時には、自分が大好きと言い切れ
るまでの道のりは長いと思う。
 自分が好きとはなんぞや。
 自分自身が好き嫌いの対象になるなんて考えたこともなくて、よくわ
からないかもしれない。
 自分が好き、とは、言い換えれば、自分自身を大事にできているって
こと。
 ところが、たとえば、人から理不尽な扱いを受けているような場合、
その状況に甘んじ続けるのは自分自身を大事にしておらず、自分に対す
る裏切り行為であるが、自分の言動を変えたら、現状がどんなふうに変
わるのか見当がつかなくて、それだったら今のままでいいと思っている
としたら、こういう時にこういう反応をする自分自身が大好き、と判定
するかもしれない。
 自分のことは自分でもよくわからないものなのだ。
 だから、何か嫌な事が起こった時がチャンス。
 何かや誰かのせいにせず、愚痴を言わず、誰かを責めず、はたまた、
自分のような状況に陥っていない恵まれた誰かを羨んだりもせず、腹に
ぐっと力を入れて自分の心が澄んで晴れやかでいられる方向に舵を取っ
ている自分自身か、と自問するのだ。
 自分のことが大好きな人は自分自身を絶対的に信頼しているから、自
分の言動のすべてに自分が一番惚れ惚れするはず。
 よって、普段の生活の中では、起こる事はすべて善、という覚悟で生
きる。
 でも、不測の事態に見舞われたら、やっぱり泣き言を言うし、いじけ
るし、僻むし、恨むし、弱音を吐くし、立ち尽くすだろう。
 そうなっていると気がついたら、軌道修正。
 そのうちまた困った事態に見舞われて、また、おろおろして、そうい
う自分に気がついたら、また腹を括って立ち向かう。
 人生ってその繰り返しなんだろうな。
 良い事ばかりが起こるなんてあり得ない。
 そうわかったら、引き寄せの法則は信じるけど信じない、というゆっ
たりした考え方になれるのではないか。
 そして、嬉しい事が起こったら、自分が引き寄せた、などと自我強く
悦に入るのではなく、ただもう感謝、という気持ちになるのではないか。