うどんかるた

 香川県のうどんかるたが販売延期になったそうな。
「強いコシ 色白太め まるで妻」
 という札にクレームが来たからだとか。
 うーん・・・どこが問題?
 人は、自分のことを言われているのでなくても、自分が気にしている
ことを言われると、自分が批難されたように受け取り、過剰反応するこ
とがある。すると、
「そんなことを言うものではないでしょう」
 倫理にもとる事を言ったみたいな責め方をして、自分の心をなだめる。
 うどんかるたには、
「良いイメージで受け取らない人もいるのでは」
 とひとごとにしての抗議があった模様。
「そんなアホなことしたらあかんやん」
 友人の小学生の息子に言ったら、
「アホなんて言ったらあかん」
 と言い返され、え、なんで・・・。
 どうやら彼は、学校で友達から、
「アホ」
 と言われるらしい。
 私は、
「今度、友達からアホって言われたら、おかあさんにものすごく愛され
てるからええねん、って言い返しィ」
 と言った。
 客観的に優劣が付けられない事で自分は一番だと宣言して相手を煙に
巻け、と言って、奇策だが、ちょっと面映ゆい様子でニッと笑うと、彼
の心はこの一件から離れた。
 が、その後も、単なる言葉の綾で、
「アホ」
 という言葉が混じると、即座に、
「そんなこと言うたらあかん」
 と彼。
 私としては、いつか彼が、勉強のできる、できない、ではない何かで
胸を張れるものを見つけて、アホと言われたら、
「ああ、そうやねん」
 と、すがすがしく笑い飛ばせるようになってほしいと願っている。
 だって、自分の劣等感を自分自身が笑い飛ばせたら、満点には程遠い
自分ではあるけれど、そういう自分が好きだ、と自分で自分を肯定した
ことになる。でも、それには精神の成長が必要。
 子供を産んだら、皆が皆、いしいひさいち四コマ漫画ののちゃん
に出てくる、ころっと太ったおかあさんのようになるわけではない。で
も、そういう女性を母親像として描いても、太ったおかあさんからさえ
クレームは来ないのではないか。
 だが、香川県のうどんかるたは、私が、この言葉だけはクレーム対象
ではなかったろう、と最初に除外した「色白」こそが批難されたのかも
しれない。
 同じく香川県が県産米「おいでまい」のイメージガール募集チラシに
記載した「色白でスタイルの良い方」という言葉も槍玉にあがり、言葉
を変えて応募し直すことになったというのだから。
 香川県では、「色白」は、普通に生活していたのでは不可能、という
のと同義語なのかなあ。