日大アメフト部三昧

 今週は日大関係者の会見が次々行われた。
 会見を生で見ようとして、私は私の思考回路の古さに気づかされるこ
とになった。
 五月二十二日。多くのテレビ番組で宮川泰介選手の謝罪会見が放映さ
れたが、会見の開始時刻が遅れたせいか、途中で放映が打ち切られ、番
組スタジオの人達が好きに見解を述べる場面に切り替わって、え、テレ
ビは事の優劣がおわかりではないんですか。
 慌ててパソコンで探したら、インターネットで生中継の続きが見られ
た。
 しかし、翌二十三日夜八時からの内田正人監督と井上奨コーチの会見
も、私はまずはテレビを頼り、またもや生放送が途中でぶつ切られて、
パソコンで生中継の続きを見る羽目に。
 五月二十五日、午後三時半からの日大の大塚吉兵衛学長が記者会見も
同様で、さすがに私は、会見の最後まで生放送を流してくれとテレビに
期待しても詮無い、と学ばされた。友達に話したら「今頃」と笑われそ
うである。
 ところで、立て続けに関係者の会見が三度続いたことで、たとえば、
宮川選手の会見の場は異質に格が高かったことがよくわかった。質素な
会場に見えたが、日本を代表する日本記者クラブって、やっぱりすごい
んだなあ。
 そこを使わせてもらうことができた宮川選手。
 彼の真摯で誠実な態度は出席した記者達にも影響したようで、そこに
いる全員が、彼は加害者だが言葉汚く糾弾すべき相手ではなく敬意を払
うべき人物である、という姿勢で礼儀正しく質疑した。
 もっとも、代理人である西畠正弁護士が、宮川選手の長き将来を鑑み
て、「できればアップで撮るのは避けて格別のご配慮を願えれば」と冒
頭で述べた言葉があっさり無視されたことは忘れてはならないのだが。
 会見の最後に、西畠弁護士が、宮川選手の両親からの言葉を代弁した。
 短い一文である。
 だが、読み上げる声は乱れ、その声の震えは、その会見を見た良識あ
る人達の切なる願いであるがごとくに私には聞こえた。
「どうか皆様には将来に向かって歩もうとしている本人の今後を静かに
見守ってくださるよう心からお願い申し上げます。以上で終わります」
 ところで、二十四日にスポーツ庁に問題の経過を説明に行った帰りの
日大幹部が記者に取り巻かれて意見を求められる場面がテレビで放映さ
れたが、大里裕行常務理事は、答えようとして、一瞬、石井進常務理事
に目を走らせ、無言を選択した。
 その一瞬の意味。
 映像、音声から伝わることは多い。