マスケティアーズ

 偶然、得た情報が、私の役に立ち、その賞味期限がかなり長くなるこ
とが結構ある。
 ところが、感謝の気持ちで、いつ、どこで、この情報に出くわしたの
だろう、と振り替えると、思い出せない。我ながら呆れてしまう。
 私は普段、あまりテレビを見ないしBSはなおさらだが、今晩は特別。
 十一時からBS4でイギリスの連続ドラマ『マスケティアーズ シー
ズン三 第六話』を見るのだ。
 初めて見た時は、もう『シーズン二』に入っていて、見逃したすべて
の回を残念に思ったものだった。
 なぜ、このドラマだけは見るようになったのか。
 これに関してだけは、くっきり記憶がある。
 2018FIFAワールドカップ ロシア の試合を見ている最中、十
五分の休憩時間になると、ほかの番組をあれこれ見て、このドラマに行
き当たった。
 いきなり釘付け。サッカーの後半戦が始まるのが恨めしいと思ってし
まったぐらいだ。
 それ以降、土曜の夜十一時はこの番組のための時間。
 けど、マスケティアーズって何よ。
 カタカナで書かれると、最初の三文字ぐらいで、馴染みのない単語ゆ
えか、文字の理解が付いていかなくなる。なんで英語をそのままカタカ
ナ読みで書くかねえ、その言葉からは何の感情も掻き立てられないんだ
けど、と自分の理解力のなさを棚に上げて、言いたくなる。
 なんとか覚えたけど、そうなってもやはり、この言葉は心をそよとも
動かさず、登場人物の名前も、俳優の名前も、これはカタカナでしか書
き表せないのがわかっていても、お手上げ状態になる。
 だからと言って、アルファベット表記が望ましい、と言いたいわけで
はないのだが。
 ところで、私はすでにこのドラマが終了する日が近づいているのを、
悲しんでいる。
 どの俳優も、むしろ劇の役者達、と言いたいぐらい重厚で繊細で圧倒
的な存在感がある。イギリスは、シェークスピア劇を産んだ国だったな
あ、ということが思い出される。
 だって、BBC放送がこのドラマの宣伝のために幾つか作った動画の
中の彼、彼女らを見ると、どこにでもいる普通の人に戻っているんだも
の。
 このドラマは、フランスの有名な小説『三銃士』がベースになってい
るが、恋愛も絡めている。
 恋した男女が見つめ合う時の表情。
 今日のNHKの『まんぷく』も長谷川博巳の恋の表情が素晴らしかっ
たが、マスケティアーズの方がわかりやすい、と思ってしまう私。
 西洋人のあけすけで直裁な表現の方がわかりやすいのかあ。
 それだけ鈍感ってことなのか。
 もうすぐ十一時。
 解明できるといいな。