時流に乗る

 友達とランチの日が決まってから、もし興味があるなら、と『ボヘミ
アン・ラプソディ』の映画を誘ってみたら、
「行きたい」
 と即答メール。
 ランチのあと、観に行くことになった。
 映画館のホームページには、開演時間ごとに「余裕あり」「残席わず
か」などの文字。私達が行く日は「販売期間外」。
 何、それ。チケットは当日券しか販売しませんってことなの。
 わからない。
 が、三日前に見たら、今度はなぜか予約のページに行き着ける。
 なんでだ。よくわからないが、大切なのは予約できること。
 その時点の空席が載った座席図をスクリーンショットで保存して友に
メールで送り、相談。無事、予約完了。
 ホームページに、チケットを見せたら同じビル内のレストランで割引
価格で食べられる、と出でいたので、当日、友と会う前にチケットを入
手しておくことにした。
 壁際の発券機で自己完結するのか。知らなかった。
 知らないと言えば、映画を観る時、前の人の頭が邪魔になったら鬱陶
しい、と前方中央ブロック内の最後部の端を選んだのだが、着席しても
前の人の頭は視界に入らない。
「スクリーンが上やからやわ」
 おお、なるほど。
 椅子は座り心地がよくてゆったりしているし、映画館はこんなに進化
していたのね。
 時流に乗り遅れていたせいで無邪気に感心させられたわけだが、でも、
ボヘミアン・ラプソディ』を観たくなったということは時流に乗って
いたと胸を張ってもいいはず。
 けど、時流って・・・。
 カルピスが長き低迷から脱出して再成長中、という記事を読み、そり
ゃそうだろう、私だって久しぶりに飲み始めたんだもの、と思ってから、
時流に乗ったと言うと自発的な感じがするが、広告や宣伝、販促にうま
く乗せられただけかも、という点に気がついた。
 スーパーマーケットの目立つ所に希釈タイプのカルピス。でも、私が
目を引かれたのは、その横に置かれた青い水玉模様の透明ボトル。カル
ピスを理想的な濃さで作れるようカルピスと水用の目盛りが付いている
らしいが、可愛くて。それが欲しさにカルピスを二本買ったのが始まり
だった。
 飲み過ぎて、飽きてからは、秋になったこともあり、「ほっとゆず・
かりん」味に移行。
 はやりやブームは所詮一過性、それに、みなに迎合することになるの
は格好悪い、と批判的な眼差しになることが多かったが、うっかりその
輪に交じってしまうと、結構、楽しいものだなあ、と感じた。