次々壊れる

 始まりは、USBメモリを使って、八年前に買ったiMac内の作成デー
タの中から必要な物を新iMacに取り込み数時間後であった。
 いつもなら、またすぐ使いそうにないなら、さっさとシステム終了す
るのに、この日は旧iMacをそのままスリープ状態で放置。ようやくシス
テム終了しようとしたら、画面上を直径五ミリほどの虹色の円がぐるぐ
る回っている。「作業に時間がかかり中」のサインだが、後で調べたら、
スリープからの復帰時にも起こりやすいとか。
 仕方なく手動で電源を落とし、強制終了。再度立ち上げるが、同じ円
が出現し、また強制終了、また・・・を何度か繰り返していたら、モニ
ターの上下に常に出ているべきバーが現われなくなった。
 壊れたのか。
 まあ、データは外付けハードディスクに保存してあるから、それを新
iMacに移せばよい。
 が、旧iMacが使えなくなったことで問題が生じた。
 スキャナーが動かないのだ。
 メーカーに問い合わせたら、新iMacのOSのバージョンへは非対応、
つまり使えないと言う。
 二、三の友人にいるならもらって、と打診するが、すでに持っている、
という返事。
 インターネット上のフリーマーケットで売るというのは手間が面倒で
私は背を向けている。小型複雑ゴミとして出すしかないんだなあ。
 一抹の罪悪感である。
 プリンターは近年買い換えていたので、新しいiMacでも使える。はず
が、手差しプリントができない。
 これもメーカーに問い合わせ、数回のメールのやりとりの結果、修理
に出すしかない、と判断を下された。
 さらに、このタイミングで炊飯器が故障。
 母がいつ買ったのか、二十年は優に超えていると思うが、ガスの元栓
に繋いでスイッチを押せば十分ほどで炊き上がる。ご飯を炊くだけ、と
いうシンプルさのおかげで今でも使えているのだろう、と保守契約のガ
ス関連会社の人が言ってくれたばかり。
 スイッチを三回押し直さないと点火しないので、毎回、迫る寿命を覚
悟させられつつ使ってきたが、なぜ、「今」なの。
 炊飯器は、これが壊れたら、ドイツ製フィスラーの圧力鍋かフランス
製ストウブ鍋で炊こうと決めていたので、買い換えに頭を悩ますことは
ないが、ややこしいタイミングであるがゆえに、精神は揺すぶられる。
 一つ壊れたら次々壊れる、と家電製品について都市伝説のように言わ
れているのは本当だったのか。
 それにしても、プリンターの手差しが使えないのは手痛い。
 修理に出したら、年内に戻ってくるのか。
 今日は、年賀状の受付け開始日だ。