占いとの付き合い方

 先月、無料占いをきっかけに何百万円も巻き上げられた人を筆頭に、占
い詐欺に遭う人が増えているという新聞記事を読み、どうやったら占いご
ときでそうなるのだろう、と不思議だった。
 私は、生きている中で嘆息することがあると、占いにのめり込む。定期
的にそういう波が来る。
 心療内科でもカウンセラーでもなく占いなのは、自分という人間がわか
れば解決できると思ったのが始まりかも。名前の画数や生まれ落ちた時の
星々の配置にそれを期待したのだ。
 本棚に少しずつ占いの本が溜まっていった。
 その人が生まれた時点の地図は本でも割り出し方を学べる。
 ところが、星占いの地図は一つきりだが、姓名判断は漢字によっては画
数が二種類ある。四柱推命は流派によって地図が異なる。私がそうだった。
 地図の読み解き方に行く前に、出鼻を挫かれる。
 でも、そこに拘泥するのはやめ、その本の著者が属する流派の読み解き
方を信じることにすると、当たっているところもあるが、当たっていない
ところもある。
 どんな占いも、百パーセント当たっている、ということはない。
 では、何パーセント当たっていたら当たっていることになるのだろう、
と疑問が湧くが、そこにも拘泥することをやめ、友人知人、芸能人を診断
してみる。
 当たっていないと思うことも多い。
 首を捻る。
 そうこうしているうちに、私は憑き物が落ちたように、占いにすがりた
い季節を抜け出せるのだった。
 鬱にならず酒にも溺れず精神を立て直せるのだから、私にとって、占い
は良き心の安定剤。
 だから、占い詐欺に遭う人がいるのは悲しい。
 占いに細かいところまで言い当てることを求めることは間違いなのだ、
と今の私は言える。
 占いが当たる領域は、占いの本に載っているような、ざくっとした大枠
まで。
 それが割と当たっているので、もっと細かいことを言い当ててほしくな
ると、はずれると思ったらいい。
 そんな詳細まで言い当てよというのは、生まれてこの方、その人が培っ
てきた思考の癖などを正しく読み解けと言っていることになるからだ。
 生まれた時の自身の地図にそこまでは描かれていない。
 思い出したように占いに取り組むも、結局、そういう納得に至る頃には、
自分の足で立つ力が戻ってきている、そんな私。
 でも、趣味なので、来年の占いの本を買った。
 後半ページは、三百六十五日の日々の占い。
 これがないと本として成立しないのかなあ。