ヨーロッパ事情

 フランスの友人の大半と、誕生日などのプレゼント交換はもうやめたが、
ひと組の夫婦とのクリスマスプレゼントの習慣だけは続いている。
 絶対間に合うと計算して十二月十日に送った去年。
 先方に着いたのは、クリスマスを過ぎ、もうすぐ年明けになろうという
二十九日だった。
 日本国内の配送状況も三日間ほど通常より時間がかかっていたから、新
コロナウイルスの影響があったのかも。
 でも、フランスの飛行場で、なぜに、そこから十日間、無為に留め置か
れる必要があったのか。
 解せない。
 しかし、その事実に学び、今年は十二月に入ったらすぐ出すつもりだっ
た。
 なのに、十一月二十九日。
 オミクロン株の水際対策で、日本は、翌日、三十日午前零時から外国人
の新規入国を禁止するという。
 一日ぐらい、と油断したら、その一日が大差となることがある。
 飛行機の減便を予想し、まだ十一月だが、三十日の朝、郵便局から送っ
た。
 すると、今回は通常の配送日数で、八日目の今週火曜日に相手宅に配達
された。
 が、配達状況は「保管」。
 翌日も「保管」。
 その欄に「保管期限」という見慣れぬ言葉が載り、空白だが、もし知人
夫妻が長期のクリスマス休暇に出発していて、すぐには帰ってこないとし
たら。
 プレゼントなんだから、本当は突然受け取って、驚いてもらいたい。
 でも、それよりも、確実に受け取ってもらうこと。そして、私自身の不
安解消。
 知人にメールで状況を伝えた。
 すぐに、「今、ハンガリー」という返答。
 PCR検査が陰性なら、まさしく今日、家に戻るらしいので、私のプレ
ゼントはちゃんと受け取ってもらえそうである。
 それにしても、彼らはなにゆえハンガリーなのか。
 歯の治療のためだった。
 去年、弟夫婦が治療してもらったら非常に良くて、今回、一年目の経過
観察でまた行くというのでそれに同行し、自分達も治療してもらったのだ
という。
 フランスで治療したら四十パーセント高くつく。
 浮いたお金でブダペスト旅行を楽しめたのなら、いいのだろう。
 けど、歯は、病気治療でない時も、定期検診で歯石を取ってもらったり
した方がいいと思うけど。
 彼らはコロナワクチンを打っていないし打つ気がないので、フランスで
は行動を大幅に制限されるが、ハンガリーでは一切そういうことはなく、
久しぶりに自由を満喫したらしい。
 これも、「よかったね」と言いたいけれど、うーん、いいのか。