フランスへの郵便

 パリは今、大規模なストのさなか。
 遠いし関係ないと思いたいが、そうもいかない十二月。
 十二月三日にフランスの地方に住む知り合いにプレゼントを送った。
 国際eパケットライト
 追跡できるが万一の紛失時に補償金は出ない。通常なら二週間ほどで着
く予定。でも、三週間ぐらいはかかると踏み、今年は早めに送った。
 九日に先方に到着。
 ストがないどんな年でもあり得ない最速六日目の到着で、国際郵便にス
トは関係ないのか。
 そんなことはない。
 これを送付する一日前の二日に書類を送った。重要書類ゆえ、補償金付
きの国際eパケットにした。
 五日のストの初日より三日も前に送ったから、余裕でストをくぐり抜け、
予定どおり一週間で着くと信じたのに、追跡画面は、現地時間の十日十時
六分に「配達局から出発」の表示が出たきり、更新なきまま翌日が終わる。
 郵便局員は配達物を持ったまま丸一日以上、一体、何をしているという
のか。
 行動を起こしたくても、あと一日待て。
 心はそう告げるが、国際郵便ゆえ、不安を封じ込められず、日本の郵便
局に電話。
「外国のことなので、あと一日待ってもらって、それでも駄目なら」
 私の心と同じことをひとの言葉で聞かされた。
 フランス国内からのみ問い合わせ可能な電話番号を教えてくれたので、
それも書いて、頼っているフランスの友人にメールで経過を報告。
 その日のうちに返事をくれ、
「フランスでは二週間目以降しか、そういう問い合わせは受け付けないの
で、来週スカイプで話しましょう」
 その翌日。
 朝六時三十六分に「お届け済み」という情報が載った。
 そんな早朝の配達はない。
 そもそも、受取人の職場は閉まっている。
 追跡の日時って、かくもいい加減だったのか。
 まあ、よい。
 このあと、普通のエアメールで友人知人にカードを送った。
 一通、百十円。
 記念切手を所望したら、出されたのは東海道五拾三次の絵柄の切手。
 私は、基本、目新しさを懐疑し、古きを重んじるタイプだ。
 その私が、さすがにげんなりした。
 日本らしさはこれしかないと思っているのか。
 外国人は、日本の魅力はほかにもいろいろあると知っているよ。
 なのに、モチーフは十年一日の如し。もはや、発想が手抜きだと軽蔑し
ても許されると思う。
 不変は淀み。
 急にそう開眼して、私、これから変わるかも。
 切手は百円と十円のを組み合わせた。
 国際文通週間用の切手は買わない。