人気のキャラクター

 朝から本降りの雨。
 梅雨みたい、と思うのは生ぬるい空気のせいだろう。全然秋っぽくない。
 買い物に出たかったが、諦めた。
 買いたいのは生乳100%のヨーグルトだけだったから。
 一つあるが、中身がほとんどない。
 それでも明日買いに行くまであれば安心だ。
 なのに、食べた。
 食べたい時になくて禁断症状に見舞われたらその時のこと、なんて勇気
でも何でもない。
 自制心のなさが悲しい。
 ところが、両開きの冷蔵庫の左側を開けたら、未開封のが一つある。
 これなしでは生きられない自分自身であると認識していて、いつも少し
多めに買っておくリスク管理に救われた。
「ない」と思っていただけに、嬉しさはひとしお。
 キャラクターの絵入りのポーチを取り出してきた。
 飲料を買った時におまけで選べたので、選んだ一つだ。
 それを見た友達に、そのキャラクターが好きなのかと聞かれて返事に窮
したが、その時、友がそのキャラクターの名前を言ってくれたので、中学
生女子とサンリオのキャラクターの話になった時、私だってキティちゃん
以外も知っている、と言いたくて、その名前を言ったら、
「シナモンじゃなくてシナモロールですよ」
 その場にいた大学生に訂正された。
 え~、紛らわしい。
「私はKIRIMIちゃん.が好きなんですけど、この頃あんまりなくて」
 中学生が言う。
 今どきの親は想像力豊かな名前を子に付けるから、まあ、悪くない響き
だ、と頷いたら、画像を見せてくれて、
「え! サーモンの切り身やん」
 私は絶句。
 で、今、ポーチを見たが、崩したアルファベットでよくわからない。
 サンリオのホームページを見たら、載っていた。
 ほかにもおまけでもらったポーチはクロミとポムポムプリンだとわかっ
た。
 そのキャラクターだから手に入れたかったわけではない。でも、無料の
おまけでも、ほしいと心が動かなかったら、もらわない。
 先日はドラゴンボールの限定書き下ろしクリアファイルのおまけが店頭
に並び、私は、六種類ある中、四種類を選んだ。
 なんとなく。
 後日、売り場に最後まで残っていたのは私が選ばなかった一つで、妙に
納得できた。
 六種類全部手に入れるのでないなら、なんとなく、これは、というもの
から却下していく。それは、不思議なことに、私だけでなく、ほかの人も
同じように選ばないとわかったからだ。
 世に「売れ筋」が生まれる理由は、そういうことだろう。
 言葉にできない何か。
 でも、同時代人が共有する感覚。