パーソナルカラー

 私は、顔まわりにくるスカーフや服は明るい色を選ぶ。
 暗い色だと、顔色が沈むのだ。
 店員から、
「色が白いですねえ」
 と言われると、単に日焼け肌ではないということなのだろうけど、悪
い気はしないし、ラベンダー色が似合うと勧められ、友人知人にも好評
だと鼻高々。
 が、黄色が出回った年に黄色を勧められ、これも明るい色だし、と何
着か購入して、友人知人からラベンダー色より似合うと言われると、内
心、屈託。
 歳を取ると肌が黄色っぽくなると言う。黄色が似合うのは、肌が黄色
っぽくなってきたせいではないのか。そう思うと、素直に喜べなかった
のだ。
 以前、スカーフの巻き方をマスターするという本を買い、中に「はい」
「いいえ」で答えていくと「春」「夏」「秋」「冬」の4タイプのどれ
かに辿り着くチャートがあった。最後の一問にどう答えるかで、私は
「春」か「秋」タイプになる。明るい色が似合うから「春」なんだろう
な。なんにせよ、どちらも黄色ベースのグループだ。
 ラベンダー色は青色ベースの「夏」タイプ。
 私は青色ベースがいいなあ。
 しかし、願望より真実である。
 この際、本当の自分を見極めようと、インターネット上でいろいろ見
て自己診断すると、やっぱり「春」タイプみたい。そして、補助的には
「夏」タイプ。
 でも、青色ベースの「冬」タイプは絶対違う。
 そうか。だから、紺と白という、これからの季節にキリッと涼感のあ
る色が不得手でも、当然だったのか。
 冷静に考えれば、私の視界に入るのは、私自身の服装ではなく、私と
一緒にいる人達の服である。その人達が私の好きな色を着てくれたら、
私自身は着れなくても、私の目は大いに満足できるはず。
 ところが、
「私が着たい」
 と思ってしまう欲どおしさ。
 で、頑張って挑戦して、自滅。
 長年繰り返してきた愚である。
 だが、私は「春」タイプだと得心できたので、無い物ねだりからは、
もう脱出だ。
 頑張っても、似合わないんだもん。
 幸い、店員の勧めも加味して選んだ色は、「春」タイプが大半。つま
り、手持ちの服で大丈夫、という安堵である。
 黄色に関しては、透明感のある派手な黄色は青色ベースの「夏」「冬」
タイプの人向けで、今年はこの手の黄色が多いのだろう。明るい色なの
に、なんか似合わない、と店で棚に戻してばかりだった。
 私に似合うのは、くすんだ黄色なのだ。
 でも、決して肌がくすんでいるからではない。
 そこは冷静に理解して、変にいじけないことにしよう。