「普通」に知る

 前回、「はてなダイアリー」が来春で終了することをヤフー・ニュー
スで知ったと書いてから、こういう重大な情報を先に外部から知らされ
るってどうよ、私はこれでもダイアリーの発行者なんだけど、と思った
が、まずは調べることである。
 すると、メールが自動仕分けされ、私がほとんど見ない方に告知メー
ルが届いている。
 こんなとぼけた私は、あのヤフー・ニュースを見逃していたら、終了
間際になって焦らされることになったのは必至。
 助かったあ。タイミングが良かったなあ。運が良かった。
 さて、今朝はヤフー・ニュースの「“サケ弁当”に批判 料理は女性
の役割?」に目を引かれた。
 弁当レシピを動画配信している会社の「鮭弁当」のページ。
 鮭の切り身は、網で焼く方が美味しいが、朝で忙しいという前提ゆえ
だろう、手早くフライパンで油炒めし、それを、弁当箱全体に広げた炊
きたてのご飯の上にポンとのせる。
 日の丸弁当ならぬ鮭弁当。
 画面の上方に、
「妻を怒らせた次の日の」
 というタイトル。
 これが攻撃されることになったらしい。
 私は、ヤフーの見出しを読んでから動画を見、ふむふむ、妻と喧嘩を
した夫は、翌朝もその気持ちを引きずっていて、その日の弁当は最高に
手抜きを選んだんだなあ、と理解したのであった。弁当は自分自身用。
もしかしたら妻用かも。その場合は、気持ちがのらなくても君への弁当
はやめないよ、という夫からのメッセージになる。
 動画記事の後半、若い夫婦が取材に答えているのを見て、勘違いに気
づかされた。
 すごいなあ、私。
 だって、みなが普通はこう受け止める、というニホンの文化的標準か
ら、かくも逸脱している。
 フランス人夫妻の家庭を訪れた時、夜、夫がイギリスのコント番組の
DVDを見せてくれ、彼は涙を浮かべて笑い続けたが、私はきょとん、
彼の妻はしらっ。
 帰国後、東京と大阪の笑いの差、みたいなものだったのだと解釈した
のであったが、感性や感覚の土台が同じでないと、共感したくてもでき
なくなるのは間違いなかろう。
 どっぷりニホン人なのに、異質も多い私。
 それでも、肺癌末期のフランスの友の言葉には、ニホン人を代表する
反応になったと思う。
 もう自分ではほとんど何もできなくて、
「今やソファーの女王よ」
 という彼女の言葉に、
「えっ、ベッドの」じゃないの、と素朴に驚かされたのだ。
 そして、考え込まされた。
 ベッドが当然だと思うのは、普通なのか。