偶然テレビをつけたら

 市の健康診断で、LDLと総コレステロールの値が高いという検査結果
が出た。
 医者が念のために頸動脈の超音波検査を勧める。
「調べて、どうなるんですか」
「場合によったら薬ですね」
「薬は嫌です」
「じゃあ」
 話は流れた。
 一方、アレルギーの担当医からは、診察前に必ず体成分分析装置で体を
暴かれるせいだが、体重が増加の一途、という点を危惧され、漢方薬を処
方された。
 アレルギー以外で薬を飲むのは不本意なので、自助努力を決意。
 が、夜のストレス性の食欲に負け続ける。
 駅を降り、閉店間際のスーパーマーケットに立ち寄るのは気晴らしのた
め。
 菓子パンを買うのは、舌の気晴らしのため。でも、食べるのは明日以降。
 のはずが、帰宅した途端むさぼり食うし、冷蔵庫から納豆やらゼリーを
次々出してくる。
 そんな状況下、再度、血液検査を受けることになったら、LDLも総コ
レステロール値も標準に収まっている。
 痩せたからだと医者は言うが、解せない。
 最悪時から一キロ半減っただけなのだ。
 あるいは、その程度でも結果が変わるほど、人の体は繊細なのかなあ。
 今週の睡眠を振り返ると、そうかもしれない、とも思う。
 午前零時に寝た翌朝、目が覚めたら九時だった。
 これは怠惰すぎる、とその夜二十三時に寝たら、翌朝五時半に目が覚め
て、六時間半眠ればよかろう。
 だが、昼間、猛烈な睡魔に襲われ、三十分ほど机に突っ伏して仮眠。
 その前にちゃんとコーヒーを飲んだが、仮眠後も頭がすっきりせず、よ
うやく頭脳明晰を自覚できたのは夜になってから。
 結果、就寝が零時四十分までずれ込み、翌朝の起床は再び九時前。
 昼間眠くなる心配はないが、九時まで寝た、という事実に絶句する。朝
の爽やかな時間が、またまた、霧と消えたのだから。
 テレビをつける。
 くだらない。
 でも、あちこち回し続ける。何を探しているんだろう、私。
 テレビは、音声を聞き流すだけ、つまりBGMのつもりでも、思考が妨
害される。無意識に言葉に耳を傾けてしまうからだ。
 わかっていても、ついテレビをつけてしまう。
 私は、頭がぼーっとしている時などにテレビをつけようとするから、何
かをしている気になりたいのかもしれない。
 まあ、テレビとは、偶然つけて、興味を惹かれたら見る、という関係が
保てているから、いいか。
 ところが、たまたまつけたら、強烈な違和感として私の目に飛び込んで
くることに遭遇する事が相次いでいる。