きのうや今日のように、少し季節が逆戻りして、でも素足では寒いかも
と思うと、パンツの下にストッキングを履く。
履いてから「あっ・・・」と思ったが、履き替えている時間がなくて、
そのまま一日耐えることにした。
股から爪先部分までが短い。ストッキングはタイツのようには伸びてく
れないのだ。
背が高く、足が長い私は、普通のLサイズだとこうなることが多い。
こんな私が、大学生の時、バスガイドのお仕着せの制服を着ると、ミニ
丈のワンピースみたいになって、横幅と縦の長さがアンバランスだった。
なのに、二条城の入り口で、目線より上に位置する大判パネルの城内地
図を旗の先で指しつつ説明すると、スカートはさらに上にあがって、不格
好。
その姿が学生アルバイトの雑誌に載った。
いかにもバスガイドっぽく制服を着こなした大人の雰囲気の先輩が選ば
れると思っていたのに。
前回このことを書いて、閃いた。
学生バスガイドの紹介記事には、もっさくて素人っぽい私こそが最適だ
ったんだ。
選ばれなかった同僚達は喜ぶべきだった。
でも、私ですら今気づいたぐらいだから、当時の仲間が傷ついたプライ
ドを黙殺という手段で慰めたのだとしても仕方あるまい。
さて、奈良に行った時のことだ。
昼食は、修学旅行生達と同じ弁当が支給された。
大きな施設内にテーブルが延々と並び、その上には倒れない程度に積み
上げられた弁当。その塊もまた延々とあった。
夕方、仕事が終わって会社に戻ると、私は、運転手と一緒に救急車に乗
るよう急かされた。
中では、横になるかと問われる。
なぜ。
医師の診察を受けた。
今も記憶に残っているのは、男の運転手がカーテンのすぐ後ろにいるの
は嫌だと思ったことだ。常設ではなく車の診療所だったように思う。
健康なのに救急車に乗るという体験を胸に、家路についた。
しかし、親友は入院した。
点滴をされ、翌朝まで胃の不調で大変だったらしい。
食中毒だ。
糸ごんにゃくが糸を引いていたと、あとで彼女から聞いた。
その日、多くの仲間が入院した。
でも無関係で済んだ私。
弁当は、目の前のを取るべきだろうに、私は、最前列まで進むと、すっ
と手を右に伸ばし、右の列の人が取るべき山のてっぺんのを取った。
その時の心境は、今に至るまで不明だ。
強いて言うなら、なんとなく。
意図してそうしたのではない。
何かにそうさせられた感じ、と言うのが当たっている。