心を紐解く

 誤字脱字に気づいたら、修正できる場合は修正する。
 でも、前回のは直さないと決めた。
 チューイングガム。
「グ」が不要。
 その存在をふわっと知っている程度で私の使用語彙になっておらず、発
音するように書けばいい、と実行したら、日本語がかなりできる外国人で
も作文を書く際一番間違うのと同じミスをしてしまった。
 カタカナ表記は難しい。
 もっとも、あとで読み返した時になんとなく引っかかったので、さすが
日本人、とこっそり自画自賛
 なんにせよ、この書き間違いは感慨深くて、そのまま残すことにした。
 さて、前回、靴の話を書いたが、その日、私はくるぶし丈のプリーツス
カートを履いて行った。
 すると、
「わあっ、爽やか。そういう色、私、好き」
 と一人から言われ、次に会った人からは、
「涼しそう」
 の褒め言葉。
 少し前にふわっとした白黒ストライプのブラウスを褒めてくれた時も二
人だった。
 疑い深い私を信用させるには最低二人、という天の指令でもあるのだろ
うか。
 薄いグレー地に黄色と薄黄色が大きな間隔で縦横に入ったそのスカート
は、雨の予報が多くて、なかなか履いていけなかった。裾が汚れる。
 しかし、ようやく快晴の日が来ると、私は迷った。
 ウエストはゴム。
 でも、ゴムがウエストに食い込むのを一日中我慢することになるのでは
ないか。
 足の甲に食い込む靴に気が取られるという意外な展開になったけれど、
スカートであれ靴であれ、元凶は体重の増加。
 その認識があったからだろう。
 スカートを褒められると、黒のノースリーブがうまい具合にウエストの
太さを隠してくれているだけなのだと私はいじけた。
 ブラウスを褒められた時に屈託したのは、七年も前に買った物だったか
ら。
 スカートは夏前に買ったので、その不安はない。
 なのに別の理由を見つけ出して、やっぱり褒められることに抵抗するの
だから、面倒臭いなあ、私。
 が、体重増はおおごとだ。
 いや。ばれずに褒められたのだから、問題はない。
 そう思えなくても、そう思えるよう強くなる。
 あるいは、劣等感を根本からなくす方向に歩き出す。
 いや。
 不可解なる自身の心の動きを探索すること。
 それこそが本当に本当の初めの第一歩。
 それで何かが紐解けたら、次の段階に進むのは、きっとたやすい。
 私の場合は、褒めてくれる人を困らせるような反応がなくなる、という
ことだ。
 検証したい。
 誰か、褒めて。