二度目の栄養指導

 二度目の栄養指導を受けた。
 一度目は近くの開業医で、二年前の夏だった。
 内容は、しばらくは覚えていたが、すぐに忘れた気がする。
 だから、今回も、役に立つのかなあ、なんて思った。
 私次第なのに不遜である。
 今回は総合病院で、予約の枠はがら空き。選び放題。
 で、思い出した。
 一度目の時、そもそも普通の開業医が管理栄養士を抱えている事自体、院
長の見識の高さの表われであるが、栄養指導の仕事はそう頻繁にはなく、そ
の管理栄養士は受付の仕事も兼ねていて、看護師から下に見られると、こそ
っと愚痴を聞かせてくれたのだった。
 総合病院なら、立場はちゃんと守られているだろう。
 予約の日。
 少し早めに着いたら、前後に予約がないので、もう入室させてくれ、時間
をオーバーして相手してくれた。
 この七月以降、私は意識して塩分を摂っていた。熱中症対策には水分、そ
して汗を掻くから塩分補給、とテレビでしょっちゅう耳にしていたからだ。
 ところが、市販のキムチを大量に食べたりして、私は塩分摂取が過剰だと
か。
 ああ、それでやたらと水を飲んでいたのか。
 蛋白質の摂取も多い。
 小腹が空いた時、手軽に栄養補給できる病状やゼリー飲料を食するように
なっていたが、わざわざ「プロテイン」含有量の多いのを選んでいた。けど、
私はそれを必要とするほど激しい運動はしていない。
 お腹が空くなら、むしろ、もっと白米を食べるのがお勧め。
 いっぱい駄目出しされた。
 とは言え、その言い方は非常に気を配ったものだった。
 質問されて答えるという問答から私の食事傾向を分析されるが、私は答え
る時、なぜそれを食べるのか食べないか、と個人的なこだわりにも言及する。
 栄養士は、それは間違った思い込みだ、とか、いろいろ言いたいことはあ
るだろうに、直裁にそう告げたら私が聞く耳を持たなくなると思うからか、
すっと引く。
 そして、
「こういうのでもいいですよ」
 代替の食材を穏やかに口にする。
 モロヘイヤも、そんなふうに提案された。
 採用してもしなくてもあなた次第、と軽い口調。
 血圧が高くなったら有無を言わさず減塩食、という刑務所のような押しつ
けはできないのだ。
 この仕事って結構大変だな、と思わされた。
 今、私は食べたことがなかったモロヘイヤを毎日食べ、それでも足りない
緑黄色野菜は、下茹でしたほうれん草とかぼちゃの冷凍食品を利用し始めた。
 どちらも国内産野菜のが見つかったのだ。
 そして、なんと、二週間も経たないうちに一キロ痩せた。