二日続けて、どかんどかんと大地が割れそうな雷鳴からの大雨。それが
合図になったのか、梅雨が明けた。
梅雨は季節の変わり目。私はアレルギーが発症する。
長き梅雨の今年は薬をよく飲んだ。
放っておいたら喘息になると言われているが、この季節の症状は鼻水。
つつーっと出そうに感じたら、慌てて漢方薬。
二種類処方されているのを、どちらかを一包、あるいは一包ずつ、それ
でも足りなさそうなら二包ずつ。
飲めばピタリと鼻水が止まる。
薬は、すごい。
だからこそ、私は海外には住めないな、と思う。この薬が手に入らない
国では住めない。
そして、かように薬のありがたさを知っているのに、薬を常用する事態
になることには抵抗がある。薬は肝臓と腎臓で代謝されるので、この二つ
の臓器に恒常的に負担がかかることを危惧するのだ。
私のアレルギー担当医が週に一回診療に来る内科医院で、院長から、健
康診断の結果、コレステロール値が高いと指摘された。
二年連続。
前回、頸動脈エコーを勧められ、断ったのは、結果次第では薬、と言わ
れたから。
が、血管の状況は知っておいた方がいいかもと了承したら、その場で担
当の医師が来る診察日に予約を入れられた。
五月のことだ。
超音波検査で、脳に向かう血管と二股に分かれる動脈の血管の壁に少し
盛り上がったプラークが発見された。
でも、LDLコレステロールも総コレステロールも前回より大幅に減り、
LDLは数値基準をわずかに1mg/dl超え。
薬はなしよね。
しかし、
「本当は百三十九ではなくて百十九以下でないと」
と言われる。
私はこの医師に対しても、薬の常用への抵抗を口にした。
すると、安全性が検証されているから慢性病の薬なのだが、
「嫌なら飲まなくてもいい。でも、待合室の人達を見てごらん。みんな、
長生きしたいから薬をもらいに来てるんやろ」
えっ・・・。
一瞬、そういう人達を軽蔑しているのかと思いそうになったが、こうい
う言い方で、薬のおかげで長生きできるんだよと説得しようとしてくれた
のだと気がついた。
まずは栄養指導。二ヶ月後に血液検査と再度の診察。
と、横で医師の言葉をパソコン入力している看護婦が、
「あ、今、空いています」
私はそのまま管理栄養士の元へ。
この成り行きに、私は、運の良さより、私の身体を健康的な基準値以内
に持っていきたがる人達にまたもや困惑させられていた。
こんな不遜な私に、二ヶ月目が来た。