その中学三年生はアメリカからの帰国子女。
身についた英語力で世の中を渡っていってほしいと親は娘の将来を設計
したようで、彼女は高校はインターナショナルスクールを受験することに
なった。
一番仲の良い同級生にその話をした。
「秘密ね」
ところが、別の同級生からそれは本当かと聞かれて、親友が秘密を守っ
てくれなかったと知った。
それもショックだが、友を問い詰めたら、
「なんか負けた気がする」
と言われて、さらにショックだったとか。
「負けた気がする」は、実際に負けたということではない。
それに、秘密を守らなかった子は、自分もインターナショナルスクール
に進学したくて、でも、いろいろな理由で諦めたのなら、まだ、その言葉
を遣うのは理解できるが、そうでないなら、勝った負けたの勝負となる何
かをこの二人が競い合っていたわけではない。
インターナショナルスクールと聞いて、なんかキラキラ、羨ましい、と
思った。それをそう表現したのだろう。
帰国子女の子は、英語は良くても、ほかの教科は・・・と親の期待に困
惑しているが、そんな心の中の葛藤に思い至る者はいない。
でも、羨ましさを、なんか負けた気がする、と表現した子は、素直に心
の内を吐露したわけで、大人の私は、ああ、素直だなあ、と思うだけだ。
ショックを受けた子は腹立ちをまだ解消できないと言った。
私に話して、少しは気が晴れただろうか。
生きていれば、心が波立つことがある。
私は、この女の子のように具体的な引き金はないが、少し前から、ちょ
っと憂鬱。
なんで私はこうなんだろう。
要約すれば、そういう疑問に襲われている。
一般的に良いと見なされる人の在り方はわかっていても、そういう自分
になれない。
なぜ。
どうすれば、そうなれる。
誰か、教えて。
こういう時、私は占いを頼る。
お金を払って占ってもらったこともあるけれど、四柱推命であれ星占い
であれ、生まれた場所と生年月日と時間がわかれば、私の出生時のチャー
トはひとつ。
それをどう読み解くか。
霊感という特殊能力に依るのでなければ、チャートのこの部分はこう解
釈される、という基礎は、学べば誰でも理解できるだろう。
ならば、私はその基礎を知りたい。
今、心がそこはかとなく揺れている私は、占いに新たに取り組み出した。
星占い。
すると、私が「私はこうだ」と思っているとおりを言い当ててくれる結
果が次々。
心が凪いだ。