咳の正体は、アレルギー

 なんで、こんなに風邪ばっかり引くんだろ。
 ずっと、そう思っていた。
 でも、インフルエンザの注射を受けたことがない。
 矛盾だ。
 でも、実はこの行動の中に正解が潜んでいたなんて。
 私は、いつも咳に悩まされる。
 この七月の時がそうだった。
 処方された風邪薬が切れても、咳が治まらない。
 もう一度医者に行けばよかったんだろうけど、そこは開業医は開業医
でも大学病院と連携しているような難しい症状の人を主に受け入れてい
て、二時間以上待たされたし、風邪ごときで来る人がほとんどいない待
合室を見て、気がくじけたのだ。
 今回は医者に行かなかった。
 市販の風邪薬を飲むが、やっぱり咳が残る。
 と、知り合いに、
「風邪じゃないんじゃない」
 と言われた。
 その人は咳喘息の持病を持つ人で、彼女も初めは風邪だと思ったし、
医者にも風邪薬の処方をされたが、それでも治らないので、不信感満々
で別の医者に行ったら、初めの処方としてはそれで正しいが、それでも
治らなかったことにより、咳喘息の疑いが強まったと説明され、本物の
喘息にならないよう、吸入ステロイドと一ヶ月に一度の検診を言い渡さ
れたそうな。そして、それ以降、症状は出ていない。
 私の長引く咳に、
「うつる」
「早く風邪を治して」
 と顔をしかめるのは、母一人。
 ほかの人達は、私がいくら咳き込んでも、たまに、
「しんどそうやね」
 と言ってくれるが、普段通りに接してくれる。
 風邪じゃないから、うつらない、と直感的に判断する人達にこんなに
も囲まれていたのに。なんで、そこから真実に向かえなかったんだろう
・・・。
 紅葉の中を歩くべく奈良の春日山原始林に行ったのは十一月二十一日。
防寒対策は、今はやりの発熱下着。服もたくさん着込んで、そのせいか、
歩いて体が熱くなったとあと、落ち着くと体がひんやり冷える感じがし
て、その温度差が気になっていたら、二、三日後に風邪症状が出、市販
の薬を飲むも、馴染みの咳に襲われる状況になっていたのだが、風邪に
しては長引きすぎているこの時点で医者に行けば、「風邪」以外の可能
性を疑ってくれるのではないか。
 ということで、家から一分ほどの開業医に行った。
 そこは診察室の扉を開けっぱなしにするのが方針らしく、私から医者
の横向きの姿がずっと見えていたが、医者の耳には私の咳が聞こえてい
たはずで、だからなのか、問診だけで、
「アレルギーですね」
 と微笑まれた。
 処方は、まずは抗ヒスタミン剤の中でも一番軽い「アレグラ」。