「また買ってきたん」
と母。
私が、お中元の売れ残りのゼリーを二箱買ってきたのだ。
これまでに買った九箱で買い納めにするはずが、そうできなかった。
「どこで売ってたん」
私は背が高い。日本女性の理想身長という程度の背の高さだが。
そして、スーパーマーケットでは下ばかり見ない。
で、練り物売り場の上の、普段は何も置かれないスペースにひっそり
陳列されているのを見つけた。
普通の人には死角なのかも。
手を伸ばして二箱取ってから、後ろを覗いたら、まだあと数箱ある。
もうこれで売り切れごめんと確認するための「ついでの好奇心」だっ
たのに、私は、早くも今後の自制心に自信が持てない。
一緒に並んだほかのゼリーは、どんなに売れ残っても平気なんだけど
な。
ワゴンで解体セールが行なわれている時に、箱売りゼリーのすべての
成分表示に目を通し、買うならコレと目星をつけたのは、そのゼリーと、
あとは早々に売り切れた二、三種類だった。
成分表示に「ソルビット」あるいは「ソルビ」で始まる文字が含まれ
ていたら、買う対象からはずす。
お菓子やパンの成分表示に「マーガリン」とあったら、それだけで無
条件却下するのと同様、私の個人的趣味である。
この二つを排除ルールにするだけで選べる物が圧倒的に少なくなるの
には驚いたが、その少ない中から選べばいいので、アレにしようかコレ
にしようかと無駄に長く悩まなくて済むのは嬉しい。
ちなみに、このルール。
あくまで私が買う時に選択基準にするだけで、人からのもらい物は、
成分表示は見るけど、感謝してワシワシ完食。
微妙なのは、母が買ってきた場合だ。
「賞味期限間際で値引きになっていた」
得な買い物をしたつもりでほくほく顔の母が、食べて、
「あまり美味しくない」
と言い、私が成分表示に「ソルビ〜」を発見しようものなら、
「せめて、これがないのを選べばいいのに」
つい、私の排除ルールに従いなさいよ発言。
「買う時、そんな小さい字ィ、いちいち読んまれへん」
そういう時こその老眼鏡じゃないの。
私は近視で、目を近づけば読めるけど、ちゃんと近視の眼鏡をかけて
買い物するよ。
さて、スーパーに行くと、店員に商品を見せて何か言っている中年女
性の二人組。
店員の返答を聞いて、一人が、
「えー。ここに書いたぁったん。こんな小さい字ィやったら、わかれへ
んワ。ねぇ」。
おいおい、客同士で共感し合うより、老眼鏡で一発解決でしょ。
なぜに毛嫌いされるか、文明の利器。