アメリカ国籍の外国人と一緒に京都を巡ることになり、まず京都観光
のガイドブックを買った。
そんな必要はないと思っていた頃もあったけど。
インターネットがあるんだし。
が、インターネットは、交通機関の時刻表や、ホテルや店の詳細など、
おおもと発信の正確な情報がほしい時には最短距離でも、
「四条あたりで、古都らしい雰囲気の美味しい喫茶店」
みたいな調べ方をしたい場合、インターネットだと、泳げども泳げど
も、どこにも辿り着けずに大海を漂うばかりのごとき気分になることが
ある。
口コミも参考にして、「ここが第一候補」と決めても、不安が残る。
その情報は信用できるのか。
私の求めるレベルに合っているのか。
結局、自分の経験が一番。次は友達の意見。
ただ、それだと、知らない場所ではお手上げ。
そういう時、意外と頼りになるのが出版物だと気がついた。
美味しい店特集の雑誌に私の知っている店が載っていたらなおのこと、
編集者の店選びの基準が推測でき、紹介されているどの店に行っても大
きくハズレることはないであろう。ほしいのは、そういう安心なのだ。
ページをぱっと開けば、店の内部やイチ押しの料理が目に飛び込んで
くるのも、インターネットにはない時短の便利さ。
そんなわけで、友人知人が来るたびガイドブックが増え、私自身が遠
方在住者のようで妙な感じだが、なぜ、前に買ったガイドブックでは駄
目なのか。
二年前の雑誌を片手に京都の伝統工芸の店を訪ねたら、
「ああ、お隣さんは、先月、店、たたみはったなあ」
という事態に遭遇し、古都とて時間は止まっていないと学んだのだ。
今回は外国人相手なので、食事は私の引き出しにある店で間に合うだ
ろう。
新しいガイドブックは必要ない。
ところが、書店で手にした京都特集の雑誌に実に迫力ある仏像の写真
が載っていて、間近から実物を見ても、私の目ではこんな風には見えな
いなあと思ったら、つい財布の紐が緩んだ。
拝観時間などは最新情報だろうから、買い損にはならないはず。
あ。外国人にはニホンの伝統工芸の実地体験も人気とか。
自分で作ったのを帰る時に持って帰れるようなのがいいなあ。
それはインターネットで探す。
英語もしくはフランス語の翻訳ページがある工房。
金閣寺と、ほかに私のお勧めの神社やお寺。
それらのURLをコピーし、私の個人的なコメントをつけ、もらって
いたメールアドレス宛に送る。
やるだけのことはやったと自己満足して、当日。
私達は大阪に行った。