栗の甘露煮

 ストレスは自分自身の受け止め方や考え方が原因。ならば原因を変え
て、ストレスを撃退すべし。
 私はそうした。次のヨガの時、左隣に例のお腹ゴロゴロ寸胴おばさん
が来た時点で、右のマットに移動したのだ。
 おかげで最終日を大過なく終えられた。今後も続けないのは、おばさ
んのせいではない。
 このヨガ講師のヨガ、という指定付きで私にヨガを勧めたのは、アレ
ルギーの担当医である。
 私は、過去に、ヨガに興味を持って本を買い、NHKでヨガレッスン
の放送が始まると、そのテキストも買って、生真面目に続けたら、腰を
痛めて整形外科通いとなった苦い経験がある。
 そう話すと、そういうのとは違うからと言う。
 しかし、指定されたヨガ講師の常設教室はちょっと遠い。
 そこで、インターネットで真剣に調べまくったら、ここなら通えるか
な、という所でそのヨガ講師の出張教室が開かれているのを発見。それ
が、今回受講した月二回、三ヶ月間コースだった。
 手のひらで身体の各部位を押し、押された部位は手のひらを押し返そ
うとする。アイソメトリックスである。これに呼吸法を重ね合わせる。
 私の担当医はリウマチ患者も診ていて、軽いスポーツを勧めると、み
んな身体を悪くして帰ってくるので、何かいいのはないか探していて、
このヨガを知り、自らレッスンを受けて、めぼしい患者に勧めることに
したらしい。
 私は、いつになったら薬と縁が切れるのか、と自分の身体のせいなの
は棚に上げて詰め寄り、もう少し肺活量が増えないとなあということだ
ったので、このヨガを勧められたのだろう。
 素直にアドバイスに従って、よかった。
 アクロバティックなポーズを目指すのがヨガ、とは限らないとわかっ
たし、呼吸を整えて自己免疫の改善につなげるという方法は、その気に
なったら、家で一人でできる。
 って、「その気になったら」というのがもう、口先だけだと言ってい
るようなものなんだけど。
 話変わって、先日。
 スーパーマーケットで栗の甘露煮を見ていたら、
「それ、国産の栗ですか」
 と上品な白髪老婦人に聞かれた。
 私が手に持っていた瓶の裏には「栗」としか書かれていないが、ほか
の廉価な瓶を見ると、「栗(韓国)」の表示。
 そうかあ。国産はやっぱり高くなるのか。でも、栗はしっかり大きい。
 私の運命は、老婦人を介して、買うなら国産だよ、と伝えたかったの
かもしれない。
 だったら、少々高くても、それを買うしかあるまい。
 まあよい。正月のささやかな贅沢である。
 
良いお年を ♪