マスク弱者

 ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領が、公共の場でのマスク着用を
命じる法律を無視して裁判沙汰になっているが、私も今、できればマスク
をしたくない気持ちだ。
 春。
 ようやく見つけて買ったひと箱五十枚入りの不織布のマスクは、中にガ
ーゼのハンカチを折り畳んで入れて使っていた。
 すると、見知らぬ店から手作りマスクが届いた。知人がその店に依頼し
て、送ってくれたのだ。
 その後、アベノマスクが到着。
 でも、イオンでわざわざお金を払って買ったのは、ワゴンの前の人だか
りに焦ったのと、ちょうどインターネットで知ったイオンから夏用マスク
が発売になるという情報が重なったから。
 一応、レジで確かめて、買った。
 が、別物だった。
 私の聞き方が曖昧だったのかもしれない。
 ただ、「個別包装三枚入り」と記載があるが、開けたら、そうでなかっ
たので、返品できたと思う。
 そうしなかったのは、「全日本婦人子供服工業組合連合会」という販売
元が電話番号と一緒に載っていて、理性に不安がなだめられたのだ。
 が、顔が痒くなった。
 はずしてからも痒さは引かず、マスクが当たっていなかった部分まで痒
みが広がる。
 やばっ。私はアレルギー体質。
 症状は主に咳、鼻に出るが、何年か前に、突然、化粧水が肌に染み、ク
リーム状のもの以外を一切受け付けられない深刻な状況に陥ったことがあ
る。今も季節の変わり目には肌が痒くなる。
 高温多湿の梅雨には、どんなマスクでもこうなる私だったかも。
 マスクが品薄の頃は、ガーゼのハンカチを折り畳むだけで縫わないマス
クを使っていたので、それに戻せばいいと思うも、既製品でないマスクは
白い目で見られそうで、弱気になる。
 マスクで肌荒れする直前、オンラインで注文したのは化学繊維で、四枚
も頼んだ。肌に合わなかったらどうしよう。
 改めて天然素材で探し直し、シルク素材のを注文した。これは二枚。
 現物を手に取り買えるなら、まずは最小単位を買って、良ければ買い増
すが、オンラインだと、送料などを考えて、いきなり複数買い。無駄遣い
に終わるリスクが高まるのが、なんだかなあ。
 さて、注文した二種類が届くまでの今、私は知人がプレゼントしてくれ
たマスクを使っている。
 レーヨン製だが、これも駄目ならアベノマスク。
 綿素材が、サイズや付け心地を抑えて、安全牌に浮上したのだ。
 でもさあ。
 ねえ、誰か。
 マスクに代わる優れ物、発明して。