腕時計を探し続ける

 百貨店に行く前に、インターネットで下調べはしてあった。
 だが、ホームページで見ていた時は直観的に好きなデザインを選んで
いただけだったと、売り場で実物を見て、わかった。私は、腕時計の文
字盤上の十二箇所は、全部棒状のシンプルなのが好き。
 家に帰り、もらったカタログの仕様一覧をとくと見ていたら、ソーラ
ーだが電波時計のもあると気づく。そう言えば、店員がソーラーだの電
波だのと言っていたなあ。初めて、そこに意識が向かった。
 ソーラー時計は、ソーラーと言うぐらいだから太陽の光で動くのだろ
う。
 だが、電波時計は。
 良いのか。
 知り合いが、ソーラーで電波時計のを持っていて、毎日、日光浴させ
ている、外国に行った時、時刻が合わせられなかった、買うなら海外で
電波を受信できるのにした方がいい、と体験から進言してくれるが、そ
う聞いただけで、なんか面倒そう。
 ソーラーも、冬のヨーロッパでは役に立たないのではないか。
 購入後に、この際聞いておきたいと店員に訊ねたら、電波時計は、時
間が狂っても海外の時刻にも、修正できる、方法は個々に違うが取扱説
明書に書いてある、という返答。ソーラーは、最低でも六ヶ月間の充電
ができると言われ、旅行程度なら問題ないか、と思うが、
「事前に本当にフル充電できていれば、ですが」
 蛍光灯や太陽にさらす時計の置き方がまずかったりして、冬場も日差
し眩しきこの土地なのに、三月は電池切れのソーラー時計が結構持ち込
まれるとか。
 さらに調べた。
 すると、電池式でないのは、寿命が来る時まで、基本、裏蓋を開けな
いが、電池式は、電池交換の際に蓋を開けるから、不具合が早くわかる、
という個人的意見に出くわした。
 分解しないとわからない不具合の場合は無理だろうけど、この発想は
面白い。
 私が腕時計に求めるのは、私を患わせず勝手に正しく動いてくれるこ
と。
 止まるのは電池が切れた時。時刻が少々狂っても海外でも、手動で時
刻合わせができるのは、原始的だが単純で簡単。私には電池式がよさそ
うだ。
 ところが、電池式は絶滅の途上にあるようで、製品自体が少ない。た
だ、どの文字盤も私好みの棒状。その分、値段は予算よりさらにあがる
が、二つ候補を選んだ。
 一つは、文字盤が見やすくて、十気圧防水。
 一つは、金の針で、通常の三気圧防水。
 機能志向の私は、迷いなく十気圧の方を選ぶべきだろう。
 だが、店頭には女物が切れているし、選びきれない。
 こういう時は、友の力だ。