新しい時間割

 これまで私が早起きだった最大の原因はインターネット接続がダイヤ
ル回線だったことにある。
 パリに住んでいた時は、管理人が9時頃から廊下にガーガー掃除機を
かける音を、もしかして私に対するわざとらしい嫌味?と勘繰りつつ、
それを目覚まし代わりにようやく起き出すような、なまくらな生活をし
ていた。なまくら、というのは“お天道様“に対しての気持ちである。
 帰国後もその生活を引きずっていたのだが、母に小言を言われ、「就
寝時間が遅い分、朝が遅くなるだけでしょ」と理屈で対抗する手はある
ものの、その理屈ゆえに就寝時間を早める方法もあり得るので、夜11
時から朝8時までならインターネット接続料が1ヶ月1,800円のテレホ
ーダイを早朝使う生活に切り替えた。
 以来、早起きを自認している私。でも、朝4時起きはちょっときつい。
いや、目が覚めることはあるのだが、そのまま起き出すと、昼間、脳と
からしばしの休息を要求される気がするし、寒い季節は温かい布団か
ら抜け出すのが嫌さに、また目をつぶることにもなる。
 ところが、近頃読んだ本の著者達が申し合わせたように「朝4時起床」
と書いていて、う〜ん、と唸ってしまった。メルマガ発信で高所得者
なった石田健、インターネットの株取引で成功した山本有花、35年ロ
ーンを5年で返済した山崎えり子……。4時起きが成功の条件なら頑張
るんだけど。
 というのも、光接続を始めたら、「出勤前にインターネット」という
時間制限がなくなり、特に休みの日はいつでも繋げるわけで、生活のリ
ズムが狂い、おたおたしているところなのだ。
 ある人が「よい癖は人間の武器である。できる人間になるかならない
かの別れ目は良い癖をどれだけ持っているかで決まる。癖には“習慣”
という行動の癖と“心構え”という心の癖の二つがあるが、まず、外側
の行動の癖である習慣から整えるとよい。繰り返しの行動が身につくに
は最低21日かかる」と書いていて、要は3週間続けられれば、その癖
は無意識の行動となって身に付く、ということである。
 無意識に行なっている行動を意識的によくすることで、最終的に考え
方の癖をよくしようというセルフイメージングを高める方法論なのだが、
えーっと、どこから、こんな話に飛躍してしまったんだ。
 ああ、光の導入で、朝の時間が自由になり、戸惑っているということ
だった。
 ということは、ここしばらくが私の正念場だな。ちと大げさだけど。