堀江は去っても

 生意気にも「堀江」と呼び捨てにしたが、有名人はそれでいいのだ、
と勝手に納得し直したところで、私のメールソフトはEudoraMac
と同じで、今のは二代目となる。
 少し前に、友達の一人が、私から来たメールに返信しても、送れな
い、と言ってきた。どうせ理由不明の一時的不具合だろうと聞き流し
ていたら、四名もの声となるに至り、プロバイダーに問い合わせるこ
とにした。このトラブルは光ブロードバンドに変えてから始まったも
のだったからだ。
 夜の八時二十分。九時までが受付時間というので「楽勝」と思って
いたら、電話が終わったのは九時半過ぎ。最後まで爽やかな声が変わ
らなかった担当女性には敬服であるが、おかげでEudoraの設定方法に
問題があると突きとめられた。
 Eudoraのマニュアルを開いて、私は驚いた。問い合わせ先は電話も
メールも記載がないどころか、「本内容の欠陥の結果生じるすべての
障害について一切責任を負いかねます」との文面。
 折しも、世間はライブドア・ショック。その余波が絶妙のタイミン
グで私に降りかかってきたってことなのかも。その意味するところは
「さっさと見切りをつけよ」。
 しかし、使い勝手の良さに未練のある私は、職場の人間に相談した。
 彼は、実物を見なくてはなんとも言えないと困惑しつつ、私の目の
前でしゃかしゃかとユードラの試用版をダウンロード。環境設定を確
認すると、私のバージョンにはない「メールアドレス」欄が燦然(さ
んぜん)と輝いているではないか。それがなくて右往左往していた私
は茫然。
 Eudoraをアップグレードするしか手はないのか。短兵急に結論を急
ぎそうになったが、彼がいくつか提案してくれた中の一つを実行する
ことで、私のバージョンをそのまま使い続けられることになった。
 これと前後して、Eudoraのサービスからも同様の回答が来た。
 ホームページにはサービスのメールアドレスが載っていると気づき、
問い合わせてみたのだ。すると、本来、私のバージョンへのサービス
は終了しているが参考までに、と返事をくれた。
 柔軟な対応が嬉しいじゃないの。
 これからも、会社のごたごたに飲み込まれずに生き延びてね。
 いや、私としては、どこが販売会社でも構わないのだが。
 現に、今私が使っているのは、ライブドアの前身、オン・ザ・エッ
ヂ時代のEudoraだった。