八時間寝た

 眠たい。あれ、おかしい。
 普段はあり得ぬ八時間も熟睡して、起きたら九時という呆然を経験した今
日。なのに、もう眠たい。
 寒いとよく眠れるから、と言ったら、思いつきの自己弁護になりそうだが、
一理あるかも。寒くなって、夜中にトイレに起きることがなくなったのだ。
 いつだったか、テレビで、医者の誰かが、夜中にトイレに起きるのは尿意
をもよおすからだと思っている人が多いが、実は、目が覚めたから、じゃあ
トイレに行っておこうか、と思って人はトイレに行く、と解説していた。
 その時は話半分で聞き流していたけれど、ノンレム睡眠レム睡眠を考え
たら、理屈がわかりそう。
 人は、寝ると、この二種類の睡眠が交互に起こる。数回繰り返されてから、
朝の目覚めとなる。
 浅い眠りのレム睡眠のあいだに人は夢を見る。夢を思い出せるのは、目覚
める直前のレム睡眠の時に見た夢だからだ。それより前のレム睡眠の時に見
た夢は思い出せない。
 で、夜中のトイレだが、寒くなるとレム睡眠になっても目が覚めないのに、
夏は目が覚めるのなら、これはもう、夏は蒸し暑くて、それが不快で、眠り
が浅くなった時に朝のように本格的に目が覚めてしまうから、と考えるしか
ない。
 少なくとも、私の場合はそれで説明が付きそうだ。
 きのうの金曜日は、朝四時にサッカー・ワールドカップの日本対スペイン
戦が開始するとわかっていたが、そんな時刻に起きたら、昼間の仕事に支障
を来す。だから、起きなかったが、何かこういう気になることがあって寝る
と、寝ていてもうっすら意識してしまうのか。いつもどおり七時間ほど眠っ
て起きたのに、なんか寝たりない、という気分だった。
 でも、その幾分かは通勤の列車の中で眠て解消したし、その夜から今朝ま
では八時間の睡眠。だから、もうあくびが出るのが解せないのだが、先週は
仕事でイレギュラーなことが頻発して神経が疲れ、この程度の睡眠時間では
疲れが取れなかったのかも。
 すると、それでも、とにかく、目覚まし時計の音にも気づかないほど熟睡
して朝寝坊したのが今日だったことに驚かされる。
 週末なら大丈夫、と私自身が意識していない深い意識がそう判断したとし
か思えないからだ。
 自分自身のことなのには、自分の意識が司る以外の領域が結構広いんだな
あ。
 そう思うと、ちょっと変な気分。
 まあ、今、私にわかるのは、肉体的な疲労がまだ残っているってこと。
 早く寝よう。