生足の復讐

 秋分の日を境に涼しくなったのはいいけど、洋服も寝具もまだ秋物を
出せていない・・・。
 いや、私が聡明なら、九月の初めから準備に取りかかれていたはず。
 九月の一週目に、アレルギーの薬が、
「ほんとに効いてるんかい!」
 と〈いちゃもん〉つけたくなるほど体調がすぐれなかったのは、アレ
ルギー科の担当医曰く、
「アレルギーの人はみんな、九月の初めは調子悪かったみたい」
 ふーん、そうなんだ。
 けど、単に夏の続きだったあの時期に、なぜ。
 私の話を聞くと、長野県の友達は、彼女の知人は八月の終わりに調子
が悪くなったと言ってから、
「身体は、私達が体感するより少し早く、季節の変化を感じ取るんじゃ
ないかなあ」
 ああ、それで、私は、九月の二週目の夜中に、ほぼ毎日、足がつった
のかも。 
 つる寸前、その予兆に目が醒めるも、対処する時間的余裕はなく、左
足は予定どおりにこむら返り。
 経験のない激しい痛みに、汗を流して身悶えする。
 そのあいだに、右足がつりそうになる。
 それはなんとか抑え込むが、こんなことが毎晩続くと、寝るのが怖い。
 足がつりそうで目が醒めたら、眠くても、ベッドを出る。
 起きていれば、つらないからね。
 真夜中の二時。
 椅子に座って目をつむり、小一時間ほどすると、横になっても大丈夫
な感じがするので、ベッドに戻る。
「水分が不足してるせい」だと知人がしたり顔で言うが、そのぐらいは、
私も過去にインターネットで調べて知っている。
 でも、そうじゃない気がするのよねえ。
 今回調べたら「冷え」というキーワードに出くわした。
 私は、七月以降、家では、昼も夜寝る時も、お尻まで隠れる長いTシ
ャツのみで、ずっと生足を通してきた。
 早速、母が持っていた膝用のウール製品を膝下からくるぶしまでに使
用し、カシミア入りの靴下を履いて寝たら、足は、もう、つらない。
 アレルギーとは無関係だろうけど、一応話したら、担当医は、夜中に
トイレに起きるか尋ねてから、
「薬を変えてみましょう」。
 漢方薬の一つが別の種類に変わり、新たにカプセル錠が加わる。
「薬が、減るどころか、増えるんですねえ」
「そら、良くなってへんねんから仕方ないワ」
 ・・・。
 丈長のレッグウォーマーを二足買った。
 レッグウォーマーはファッション製品だからか、ウール100%のがな
い。まあ、膝下や膝上の望むところでしっかり止まってくれるのが見つ
かっただけでも感謝かも。
「羮に懲りて膾を吹く」
(あつものにこりてなますをふく)
 今、私は、ウール100%の腹巻きを探し中。